本当にできていますか?食品工場の異物混入対策

本当にできていますか?食品工場の異物混入対策

食品工場における異物混入リスクは、食品業界が抱える大きな課題の一つです。異物混入の要因として、製造エリアでの害虫発生や毛髪の落下、備品の破損などが挙げられますが、これらの対策は徹底できていますか?今回は、異物混入リスクについて見逃されやすいポイントと対策方法をお伝えします。

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異物混入対策において見逃されやすいポイント

照明の明るさや性能

製造エリアにおいて、異物を目視で発見するために必要な照明環境は整っていますか?照明を暗くしていたり、逆光下で作業をしたりしていないでしょうか。異物を目視で発見するための十分な明るさとしては、最低でも500ルクス、できれば700ルクス以上の照度が望ましいといわれています。また、異物混入を防ぐという観点では、照明に必要な性能として、十分な照度に加えて「飛散防止」「低誘虫」であることも重要です。万が一、照明が破損した場合でもガラス破片が飛散しにくく、また、虫の誘引性を低減する照明を使用することで、異物混入のリスクを減少させることができます。

毛髪の混入対策

従業員が製造エリアに入る前から、何段階にも分けて対策することで、毛髪の混入リスクを減らすことができます。

まず、工場の更衣室に入る前までには、櫛で髪をとかすことにより、抜けやすい状態の毛髪を工場内に持ち込むことを防ぎます。毛髪の混入対策を徹底するためには、作業衣に着替える前から対策することが大切です。

次に、更衣室では、私服と作業衣の保管場所を離します。ロッカーに私服を入れて扉を閉めてから、更衣室の離れた場所に保管している作業衣に着替えることで、私服に付着している毛髪を製造エリアへ持ち込むリスクを減らすことができます。

さらには、製造エリアに入る前に、作業衣の上から粘着ローラーを頭から足元までしっかりかけることが必要不可欠ですが、粘着ローラーの重要性を意識せずにかけていないでしょうか。細心の注意を払って私服から作業衣に着替えたとしても、毛髪やゴミが付着している可能性はゼロではありません。粘着ローラーをかけた後は、粘着テープをすぐに捨てずに、どの程度ゴミや毛髪が付いているかを毎回確認することが大切です。それによって、粘着ローラーの重要性を改めて認識することができ、従業員一人ひとりがしっかり粘着ローラーをかけることで、毛髪の持ち込みリスク減少に繋がります。

 

破損しやすい備品や清掃道具はないか

製造エリアで使用しているものが気づかない間に破損した場合、それが異物混入の大きなリスクになります。特に、備品や清掃道具の管理が十分でなかったり、製造エリアに持ち込まれてから長い年月が経過していたりするものであれば、なおさら破損したことに気づきにくいと考えられます。例えば、破損しやすい備品として、プラスチック製のボールペンやハンドスコップ、ガラス製の計量カップなどが挙げられます。これらはできる限り、欠けにくく割れにくいようなものに替える必要があります。また、万が一破損したことに気づかなかった場合に備えて、金属検出機に反応するものを導入するということも異物混入のリスク対策になります(写真1)。

写真1:破損しにくい金属検出機対応のボールペン(2種類)


また、清掃道具においても、取れやすい部品が付いているものは、取れにくいものに替えたり、部品が付いていないものを使用することが重要です。例えば、ネジで留めているタイプのスクイージーは、気づかない間にネジが脱落してしまう恐れがあるため、写真2はバーテック製品ですが、このようにワイパー部分が一体型でネジなどが付いていないものに替えることで、ネジの異物混入を防ぐことができます。

写真2:ワイパー部分が一体型でネジのないスクイージー

このように、異物混入の要因となる材質や部品をできる限りなくし、リスクを抑えましょう。

異物混入リスクとなる清掃道具の要因については、以下の記事にも詳しく記載しています。
>食品工場の異物混入について解説!清掃用品が引き起こす5つの要因とは?

 

虫の侵入ルート

異物混入の要因となる虫を工場内に入れないためには、侵入ルートであるドアやシャッターの隙間を防がなければなりません。「開けたらすぐ閉める」ということを徹底していても、閉めているドアやシャッターに隙間が空いていては、そこから虫が侵入してしまいます。隙間があるかどうかを知るためには、昼間にドアやシャッター付近の電気を消し、ドアの内側からドアの隙間を確認する方法があります。隙間が空いている場合は、外の光が漏れているのが発見できます。わずかでも隙間が空いていると、光やにおいに誘引されて虫が侵入しますので、対策としてドアやシャッターの隙間に「隙間対策用ブラシ」を設置することで、工場内への虫の侵入を未然に防ぐことができます。(写真5)。

写真5:シャッター隙間対策ブラシ「バーシャットⅡ」

ゴムやスポンジを挟んで隙間を埋めることも可能ですが、劣化しやすいため、当社では、摩擦抵抗が少なく開閉に支障を起こしにくい、さらには気密性の高いブラシを推奨しています。

>ドア隙間対策ブラシの製品ページはこちら

ブラシによる防虫対策については、以下の記事にも詳しく記載しています。
>【防虫対策】品質衛生管理担当者必見!食品工場を虫から守るブラシ導入のすすめ

備品や清掃道具の保管

工場内で使用する備品や清掃道具を正しく管理できていなければ、備品そのものがなくなりやすく、備品の一部が欠けてしまっても気づかない恐れがあります。そのためにはまず、使用する頻度によって保管場所を分けることが大切です。例えば、温度計や計量器などの「常に使用するもの」は製造場所に、清掃道具やメンテナンス道具などの「1日に1~2回使用するもの」は製造室の隅か通路の脇に、機械の部品や当日使わない資材などの「毎日使用しないもの」は倉庫に保管するなど、大きく3つに分けて保管します。必要のないものを製造エリアから移動させることで、異物混入のリスクが減少します。

また、備品の紛失リスクをできる限りなくすためには、備品や清掃道具の定数管理をすることも大切です。備品と保管場所にラベルを貼り、何がどのくらい保管されているのかを誰でもわかるようにすることで、紛失するリスクを減少させることができると同時に、万が一紛失した場合でも、なくなったことに気づきやすくなります。

さらには、ブラシなどの清掃道具においても、誰が見ても分かりやすい管理をする必要があります。写真のように、バケツの中に清掃道具をまとめて保管していませんか?バケツの中に清掃道具を入れている場合、何が入っているのか分かりづらく、万が一紛失したとしても気づきにくいと考えられます。また、バケツの中に水分が溜まることで菌が繁殖しやすくなり、菌が付着したブラシを使うことで、交差汚染や異物混入の恐れがあります。

写真3:間違った清掃道具の管理方法

そのため、清掃ブラシはラックに吊り下げて保管をすることで、ひと目で分かりやすく衛生的に管理をすることができます。
ラックに吊り下げるポイントとしては、4点あります。

(1)床からの汚れを付着させないため、高さ60cm以上で吊り下げる。
(2)ブラシ同士が重ならないようにし、吊り下げる位置を明確にする。
(3)ブラシの種類や使用期間を明確にする。
(4)理想の状態を撮影した写真を掲示し、誰が見てもわかりやすくする。

注意すべき点として、ラックの材質が樹脂被膜の場合、すぐに剥がれて異物混入につながる恐れがあります。そのため、当社ではステンレス製のラックを使用することを推奨しています。

写真4:正しい清掃ブラシの管理方法

ブラシの適切な管理方法については、以下の記事にも詳しく記載しています。
>ブラシの適切な管理方法〜二次汚染を防ぐ2つのポイント〜

まとめ

今回は、食品工場における異物混入対策について、見逃されやすいポイントをご紹介しました。異物混入リスクとなりうるものをできる限りなくすと同時に、照明を明るくしたり、備品や清掃道具の管理を徹底したりすることで、万が一、異物が発生しても発見しやすい環境を整えることが大切です。もし、設備や機械の部品など、異物混入リスクがあってもなくすことが難しい場合は、定期的に点検することをお勧めします。食の安心・安全のために、いま一度、工場内に異物混入の危険がないかを確認し、対策を徹底しましょう。

▼参考URL
株式会社フーズデザインWebサイト
「異物混入対策」https://www.foodesign.net/practice/8

▼関連製品ページ
ドア隙間対策ブラシ
シャッター隙間対策ブラシ

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