定位置管理(定位置定数管理)とは?メリットや実施手順、継続のポイント、定位置管理で使える製品について解説

定位置管理(定位置定数管理)とは?メリットや実施手順、継続のポイント、定位置管理で使える製品について解説

定位置管理(定位置定数管理)とは、備品や物、用具などを「どの場所で・どのように・どのくらいの量を保管するか?」を決めることです。主に工場で用いられる考え方であり、定位置管理を職場内に浸透させることで、業務効率化や労働環境の改善につなげられます。定位置管理を実現するには、「どこに何があるか明示する」「必要な分だけ保管する」などのポインを押さえましょう。今回の記事では、定位置管理の概要やメリット、実施手順、継続のポイントなどについて解説します。定位置管理の実現に必要なバーテックの製品についても言及しているため、職場環境を改善したい企業は、ぜひ参考にしてください。

定位置管理(定位置定数管理)とは?

定位置管理(定位置定数管理)とは、備品や商品の在庫などを「どの場所で・どのように・どのくらいの量を保管するか?」決めることです。主に食品工場や倉庫をはじめとした、物流の現場で導入されています。定位置管理の例としては、「食材の保管棚にラベルを貼り明確に分けて保存する」「倉庫の一部区画にラインを敷いて空の台車を保管する」などが挙げられます。

定位置管理は「5S」「7S」の要素のひとつ

この定位置管理は「5S」「7S」という要素のひとつです。
5Sとは、食品や備品、商品などの物を管理する際に必要な、以下5つの考え方を指します。

整理:工場や倉庫内の備品や物を必要な分だけ保管して整理する
整頓:整理した備品や物を手に取りやすい状態にして並べる
清掃:工場や倉庫内を清掃して物の数もチェックする
清潔:清掃によって、場所や備品をキレイに保つ
しつけ:上記4つの考え方を社内に習慣付ける

とくに食べ物を扱う食品工場では、より厳格な清潔さが求められます。そのため、食品工場では「上記の5項目+洗浄・殺菌」を加えた7Sの考え方が一般的です。今回紹介する定位置管理は、5S(あるいは7S)の中から「整頓」の実現に必要な考え方を指してます。

定位置管理を含めた「3定管理」の実施が一般的

また、定位置管理を含めた考え方として「3定管理」も押さえておきましょう。3定管理とは「定位置・定品・定量」のことであり、それぞれ以下の意味を持ちます。

定位置:物の置き場所を決めること
定品:指定の場所に「何を置くか?」を決めること
定量:指定の場所に「どれくらいの量を置くか?」を決めること

上記で解説したように定位置管理では、備品や商品の在庫などを「どの場所で・どのように・どのくらいの量を保管するか?」ということを決めます。つまり、定位置管理を実現することで、この3定管理の考え方も実現できるということです。

定位置管理を行うメリット

定位置管理を行うメリットは、主に以下の4点です。

・在庫や備品の紛失に気付きやすい
・工場内の業務効率化につながる
・事故の発生リスクを抑えられる
・整頓することで職場環境が改善される

在庫や備品の紛失に気付きやすい

日頃から在庫や備品の置き場所を決めておけば、万が一紛失した際に気付けます。例えば食品工場では、衛生管理のためにブラシで清掃する機会もあるでしょう。しかし、ブラシの保管場所を決めておかなければ、いざ清掃する際にひとつ紛失していても気付きにくいです。実際に作業を開始してから「ブラシがない」ということに気付くと、探す手間も発生します。

定位置管理によって普段から保管箇所を決めておくことで、決められた場所になければ「紛失したのでは?」と早めに判断し、即座に対処可能です。

工場内の業務効率化につながる

定位置管理では、商品の在庫や備品などを「決まった場所で・決まった数だけ・決まった物を管理」します。日頃からどこに何があるかを把握できるため、「必要なタイミングで備品が見つからず探す」「紛失しているかどうかすらわからずとりあえず発注する」という手間を省けるため、業務効率化につなげられます。とくに発注の手間を省くことで、自社のコスト削減にもつなげられるでしょう。

事故の発生リスクを抑えられる

定位置管理の実現によって、事故の発生リスクも抑えられます。備品を適切な場所で常に管理できれば、万が一、指定の場所に物がない場合でも「製品に混入していないか?」「顧客宛の荷物内に入っていないか?」などを素早く判断して対応できます。とくに食品工場のように、消費者の体に入る物を扱う職場では、異物混入事故にはより気を配らなければなりません。食品への異物混入が発生すれば、企業のイメージ悪化だけでなく賠償金問題に発展することもあり得ます。

定位置管理によって日頃から備品を適切に管理することで、上記のような大きなトラブルを防げるのは、企業にとってメリットです。

整頓することで職場環境が改善される

定位置管理によって備品の保管場所が決まっていれば、さまざまな場所に物が放置されることもなくなります。物が散乱していない職場は整頓されてキレイな環境になるため、従業員にとっても働きやすいでしょう。

定位置管理の具体的な実施手順

定位置管理は業務効率化や職場環境の向上につながる大切な考え方です。具体的には以下の手順で実施しましょう。

・物を管理するスペースを決める
・どのスペースに何を置くか決める
・各スペースにどれくらいの量を置くか決める
・適切に管理できているか定期的にチェックする

1.物を管理するスペースを決める

まずは物を管理するスペースを決めます。工場や倉庫の見取り図をチェックしたり現場を見たりしながら、物を置けそうなスペースを確認しましょう。スペースを確保する際は、以下のポイントを意識することが重要です。

・作業工程に沿ったスペースを確保できているか?
・作業者がなるべく少ない歩数で向かえる場所か?
・メインの作業場近くにスペースを確保できているか?

作業者の普段の工程を邪魔しない場所に、スペースを確保することを心がけましょう。スペースを確保したら、テープなどで仕切っておきます。

2.どのスペースに何を置くか決める

スペースを決めたら、各場所に置く物を選んでいきます。以下のポイントを踏まえて、各スペースに置く物を決めましょう。

・使用頻度が高い物を作業者が取り出しやすい場所に置けているか?
・備品ごとでキッチリ場所が分かれているか?
・一緒に使う機会が多い物同士をまとめて揃えられるか?
・物の重さやサイズに合わせて運びやすい工夫が施されているか?

例えば、清掃の機会が多い食品工場であれば、モップやバケツ、ブラシなど掃除道具はまとめて保管したほうが、作業者も取り出しやすいです。また、重たい物であれば「台車の近く」「クレーンが入りやすい場所」などに置くとよいでしょう。

3.各スペースにどれくらいの量を置くか決める

置く物を決めたら「それぞれどのくらいの量を保管するか?」を定めていきます。量については、作業者の人数や使用頻度に応じて決めましょう。例えば、作業者全員が毎日ひとつずつ使う物であれば、常に作業者の人数分だけ確保することが必要です。消耗品であれば、毎日どれくらい使われるかを参考にして保管量を決めましょう。量を決めたら「どの場所に・何が・いくつあるのが理想か?」とわかるよう掲示すると、作業者も発注の判断などをしやすいです。

4.適切に管理できているか定期的にチェックする

保管する量まで決めたら、適切に管理できているかを定期的にチェックしましょう。実際に運用して作業者の意見を聞き、「もっと手前においたほうが作業しやすい」「消耗の頻度が激しいため置く量を増やしたい」というように改善することが大切です。

職場内で定位置管理を定着させるポイントは?

せっかく定位置管理の考え方を導入しても、作業者が毎日ルールを守れなければ意味がありません。職場内で定位置管理を定着させるために、以下のポイントを押さえましょう。

・どこに何があるかを明確に表示する
・作業に必要な分だけ管理する
・管理状況に変更があったら必ず周知する
・ベストな保管状態を写真で共有する
・関係者が使いやすい工夫を行い保管する

どこに何があるかを明確に表示する

定位置管理では「どこに何を置いているか?」を明示することが重要です。具体的には、棚や机などに「保管物の名称」「数量」などを表示し、リアルタイムでどこに何がどれくらいあるのかをわかりやすくしましょう。こうした情報を明示することで、毎日使う作業者が迷うことなくスムーズに取りに行けます。とくに食品工場や倉庫では、出勤日数の少ないアルバイトや派遣労働者がいることも多いです。限られた出勤日数の中で置き場所を覚えるためにも、スペースの明示は重要といえます。

作業に必要な分だけ管理する

物を置く際は、常に「作業に必要な量だけ」保管するよう心がけましょう。作業人数や使用頻度に対して物の量が多すぎると、スペース内で散らかったり探す手間がかかったりします。また、必要以上に物を購入するためコストも膨らむでしょう。一方で少なすぎると、必要なタイミングで足りないことがあります。

上記を防ぐために、作業人数や消耗具合に応じて、必要な分だけその都度保管することが大切です。

管理状況に変更があったら必ず周知する

定位置管理では、職場内の作業者全員が「どこに何がどれくらい保管されているか?」を把握することで機能します。そのため、物の保管場所や保管量などが変更されたら、その都度作業者に周知しましょう。周知しなければ、物の管理ルールが統一されず各々が好きな場所に置いてしまい、結局職場が散らかってしまいます。

ベストな保管状態を写真で共有する

「この場所にはどのように保管されているのがベストか?」を写真で共有しましょう。理想的な保管状態を視覚的に共有することで、作業者も日頃からどのように置くべきなのかをイメージしやすくなります。

関係者が使いやすい工夫を行い保管する

定位置管理は、業務効率化や職場環境の整備などが目的ですが、一番大切なのは「実際の作業者や関係者が使いやすいか?」という点です。そのため以下のポイントを意識して、関係者が日々使いやすいような工夫を施しましょう。

・物の保管場所を作業者の目線の高さに合わせる
・工場の作業動線に合わせて保管場所を決める
・一緒に使う機会が多い物同士をカテゴリーごとに分けて保管する
・作業者が物を見つけやすいよう視界を遮らなずオープンな場所で保管する

定位置管理用のグッズを活用することも有効!

このように、定位置管理を行う際は「どこに何があるかを明示する」「作業者が使いやすい場所を確保する」などの工夫が必要です。こうした工夫を積み重ねることで、定位置管理の考え方が職場内に浸透し、働きやすい職場環境の構築につながります。

また、効果的な定位置管理を実現する製品も発売されているため、必要に応じ活用しましょう。例えばバーテックでは、定位置管理に活用できる「7Sラック」を取り扱っています。7Sラックはバーテックが2023年10月に発売した商品であり、幅広い現場で利用可能です。

とくに食品工場では、他の業界より衛生面に強く気を配る必要があるにも関わらず、「清掃後にバケツにブラシを放り込むだけ」「不適切なブラシ管理によって菌が繁殖する」といった問題がありました。こうした状況は異物混入にもつながるため、清掃用具などの定位置管理が必須です。しかし、実際に衛生管理教育を行うとなると多大な時間と労力が必要なため、リソース面から悩んでいる食品工場も多いでしょう。

7Sラックはこうした課題を解消する商品です。7Sラックは、ブラシを引っ掛ける背面パネルにブラシごとのシルエットを印刷しているため、直感的に用具を収納できます。また、ブラシを浮かせて収納できるため、手軽に毛先の劣化状況を確認します。浮かせることで乾燥しやすくなるため、食中毒の原因となる微生物の発生も抑えられるでしょう。

背面パネルのシルエット配置はラックごとカスタマイズできるため、各現場のニーズに合わせて製作できます。「見積もり〜納品まで約30営業日」で納品できるため、短期間で食品工場などの定位置管理を実現したい企業は、ぜひ一度導入をご検討ください。

7Sラック

適切な定位置管理を実施して良好な職場環境を整備しよう

食品工場をはじめとして、さまざまな工場や倉庫では定位置管理の考え方の導入が重要です。「どこに・何を・どれくらい保管するのか?」を明確に決めることで、作業者はスムーズに仕事へ取り組めるようになり、業務効率化や職場環境の改善につながります。定位置管理を実現する際は、専用製品の活用も有効です。バーテックでも、上記で紹介した「7Sラック」を取り扱っています。背面パネルのシルエット配置は各現場に合わせてカスタマイズ可能です。ラックの導入という手軽な手段で定位置管理を実現し、良好な職場環境を構築したい企業は、ぜひ導入をご検討ください。

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