金属検出機の性能を最大限発揮させる5つのポイントと対策
異物混入防止の「最後の砦」として、重要な役割を担っている金属検出機。金属探知工程は、厚生労働省の定めるHACCPモデルにおいても、必ずCCPとして設定される重要な工程です。
その検出感度は、近年の性能強化により向上してきてはいますが、全ての金属異物を必ず発見できるというものではありません。今回は金属検出機の性能を最大限発揮させるために、押さえておきたいポイントと対策を紹介いたします。
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金属検出機の検出原理
金属検出機を適切に扱うため、まずはその検出原理を簡単に解説します。検出機の検出部は1つの発信コイルと2つの受信コイルで構成されており、この2種類のコイルの間には磁界が発生しています。非検査製品が磁界を通過することで発生する磁界の乱れ(2つの受信コイルが受信した磁束の差)によって、金属異物を検出しています。このしくみにより、鉄などの磁性を持つ磁性金属と、磁性を持たないステンレスなどの非磁性金属の双方を検出することができます。
■磁性金属の検出
磁性金属が混入している場合、混入している鉄が磁化され、図1のように磁束が鉄に引き寄せられることで、片方の受信コイルの受ける磁束が強まり、受信コイルA、Bの磁束のバランスが崩れ、金属の存在が検知されます。
■非磁性金属の検出
非磁性金属が混入している場合、渦電流が発生し、図2のように片方の受信コイルの受ける磁束が弱まることで、受信コイルA、Bの磁束のバランスが崩れ、金属の存在が検知されます。
■検出感度
磁性金属は非磁性金属よりも検出感度が高くなります。当社の金属検出機対応商品「バーキンタシリーズ」も、ブラシフィラメントまたは樹脂部分に磁性金属である鉄粉を練り込むことにより、高い感度で検出できる仕様となっております。
金属検出機の性能を最大限活かすためのポイントと対策
磁界のバランスの崩れにより金属異物を検知する金属検出機において、金属異物以外の要因で磁界が乱れると誤検出につながってしまうので注意が必要です。ここからは、より正しく検出作業を行い、検出機の性能を最大限発揮させるために、押さえていただきたいポイントと対策をご紹介します。
ポイント1:水分量と塩分量
検出機に通す被検査品の水分量や塩分量が多ければ多いほど、製品影響が大きくなり検出感度が低くなります。
▷対策
金属検出機の設定を行う際、実際の製品よりも製品影響を大きくした条件(水分量、塩分量を多くするなど)で設定することで、誤検出を防ぎます。また、この設定を行う際には、実際に製品を通し、検出結果のばらつきを確認した上で行ってください。
ポイント2:温度
被検査品の温度が高くなるほど、製品影響が大きくなり、検出感度が低くなります。
▷対策
被検査品が冷凍食品の場合は、金属検出機の設定を行う際、予め製品を一定程度常温に置いた状態で設定することで、工程内で生じた温度変化(温度上昇)による製品影響を抑えることができます。
ポイント3:搬送姿勢
検出機のヘッドと平行な面の被検査品の断面積が大きいほど、被検査品の影響が大きくなり、誤検出につながります。
▷対策
ベルト面進行方向に対する被検査品の向きによる検出感度は、横長<縦長<斜め置きの順に強くなります。とはいえ、運用上、全製品を斜め置きで流すことは難しい場合が多いと思いますので、その際は縦長置きで流してください。
ポイント4:検出位置
被検査品が検出機のヘッドを通過する位置によって、検出感度が異なります。どのタイプの金属検出機であっても、検出ヘッドに対して真ん中を通過する際、検出感度が最も低くなります。
図4を例にすると、青枠が金属検出機ヘッドであり、被検査品が白い領域を通過するとした場合、Eの部分を通過する際に検出感度が最も低くなります。
▷対策
テストピースで検出感度の確認を行う際に、感度の低い中央部を通過させて、検知することを確かめてください。
ポイント5:サイズ
大型の検出機に小さいサイズの製品を流すと検出感度が低下します。
▷対策
できるだけ製品の大きさに合った間口の検出機を選んでください。ただし、製品が検出ヘッドに衝突すると感度が低くなるため、小さすぎず、且つぶつからない程度の大きさのものを選びましょう。
まとめ
このように、検出感度低下につながる影響を軽減することで検出率を高め、機器本来の性能を最大限発揮させることができます。HACCP制度化に加え、新型コロナウイルスによる影響により、今後、衛生管理に対する社会的ニーズはますます高くなることが予想されます。ぜひとも、金属検出機を最大限活用し、効率的で生産性の高い危害管理システムを構築していただきたいものです。
金属検出機対応商品「バーキンタシリーズ」
当社でも、万が一の異物混入防止のため、金属検出機対応の商品を取り扱っております。ブラシ製品はフィラメントに、樹脂製品は樹脂部分に鉄粉を練り込むことで、金属検出機で検出されるようになっています。
また、鉄粉は磁性金属ですので、金属検出機の検出原理でも解説した通り、高い検出感度が期待できます。実際の商品、検出機での検出テストや、金属探知工程のモニタリングにご利用いただける、テストピースもご用意しております。詳しくは下記の商品ページをご覧ください。
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バーキンタシリーズ
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