異物検査を的確に行うX線検査機。生産性向上につなげる活用方法とは?

異物検査を的確に行うX線検査機。生産性向上につなげる活用方法とは?

今回は近年注目されているX線検査機の活用法を紹介します。X線検査機は、金属検出機よりも広い検査範囲を持ち、異物検査や、その他の品質検査も可能な総合検査装置です。このX線検査機を最大限活用することで、生産性向上につなげていただきたいです。

X線検査機の検出原理とは?

X線検査機は磁線の変化により検出する金属検出機とは異なり、X線を製品に照射し、その透過量を測定することで異物を発見します。図1のように、異物の入った被検査品がX線検査機を通過すると、異物が入っている箇所の透過度が悪くなり、異物と判断する仕組みです。そのため密度が高く、X線の透過率が低い物質であるほど検出しやすくなります。具体的には、鉄や石、ガラス、貝殻などを挙げることができ、金属検出機よりもより広い範囲の異物の検出が可能です。当社で新発売する「バーキンタX」は、このX線検査機に反応しやすい物質を入れています。

 

X線検査機の使用、管理上の注意点

このように幅広い異物の検出が可能なX線検査機ですが、金属検出機同様、安全かつ効果的に使い、異物検査工程の生産性を上げるためにはいくつか注意することがあります。今回は以下の三点を紹介します。

 

(1)マスキング機能を用いることによる検出感度の向上

マスキング機能は本装置の出力画像の一部の領域を判定から外す機能です。缶、クリップや包装材など、被検査品固有の透過量の小さい領域を異物検査領域から外すことにより、異物検出感度が向上します。自社製品に合わせた設定を行うことが必要です。

 

(2)テストピースを置く位置

X線検査機は金属検出機とは違い、被検査品の流す位置や方向によって感度の差があまり出ないため、その点には神経を使う必要はありません。しかし検出感度が被検査品の凹凸などに影響を受けることから、テストピースは被検査品の様々な箇所に置く必要があります。

 

(3)X線が漏えいさせない管理方法

金属検出機と同様に、X線検査機も定期的な確認により検出感度が保たれることを確認する必要があります。X線検査機については感度の確認に加えて、さらにX線が漏洩しないような管理、使用方法が求められます。X線は人体に有害であるためです。具体的には以下の点に注意する必要があります。

①遮へいカーテンを切らない
X線検査機には、入り口に遮蔽カーテンがあり、X線が外に漏れることを防ぐ役割があります。入口のカーテンに製品がぶつかるという理由にて切ったりするとX線が漏れてしまうので遮へいカーテンの切断は絶対にしてはいけません。

②X線漏洩量の調査並びに非常停止スイッチの確認
定期的にX線検査機のからのX線漏洩量を測定し、漏洩量が規定値以下であることを確認することが必要です。また、いざという時に備え、非常停止スイッチにてX線照射が停止することを必ず確認しましょう。

異物検出以外での利用方法

X線検査機は異物検出以外の用途に用いることができます。以下に3つ紹介します。

(1)欠品検査

欠品検査は、被検査品の内容物の個数を調べ、欠品を検査する機能です。包装後であっても確認することが可能であり、目視に比べて欠品を見逃す確率が格段に減ります。

(2)形状検査

X線検査機を透過した画像より、被検査品の外形や面積、質量を解析することにより欠けなどの形状不良を検査する機能です。例えば図2のようにビスケットやソーセージのような製品そのものの欠けを発見できるだけでなく、パンやクッキーのクリーム抜けなども検査可能です

(3)噛み込み検査

噛み込みとは、図3のように製品をシールする部分に製品が挟まれた状態を指し、包装の気密性が損なわれることで品質不良となります。噛み込み検査は、ハムなどにおいて、包装用シール部分での内容物の噛み込みを検査する機能です。噛み込みにより製品がシール部に挟まることにより、正常にシールされている部分よりもX線の透過量が減少します。その透過量の差から噛み込みを検知します。

 

X線検査機を使うことによる生産性の向上

X線検査機の、形状や噛み込みなどの品質検査を可能にした技術が高度な画像処理技術であり、画像で確認することができるあらゆる検査に応用できる可能性があります。こうした機能を活用することにより、生産性向上につながります。

 

(1)目視検査の代替による生産性の向上

噛み込みや欠品などの検査をX線検査機にて行うことができることで、これらの検査を目視で行わなくても良くなり、その分省力化が可能です。さらに、噛み込みなどは目視による確認が

困難でありますが、これを機械によって判断することにより、見落としの数が格段に減り、品質

向上につながります。

 

(2)工程の柔軟性向上

X線検査機による品質検査には、被検査品が露出している必要はなく、梱包後であっても問題ありません。そのため、品質検査を梱包後に行うことが可能であり、それを前提として工程を組み立てることができます。また、梱包後に検査を行うことにより、露出した状態における目視検査に加え被検査品が露出する時間が減りますので、異物混入リスクの低減にもつながります。

 

噛み込み検査や欠品検査は、どの製品であっても必ず可能という機能ではありませんが、標準機で検査ができない場合、メーカーがユーザー様の製品使用に合わせ、こうした検査ができるようにカスタマイズするサービスもあります。異物検出だけでなく、品質検査の時短、質の向上による生産性向上にも活用いただければと思います。

 

まとめ

X線検査機は、異物検出にとどまらず、欠品や噛み込みなどの品質不良の検証も可能な総合検査機器です。また、被検査品や異物の形状に合わせたアルゴリズムを用いることにより使用製品に合わせたカスタマイズが可能です。また、その性能は年々向上し、X線管の性能向上などによるランニングコストの低減、長寿命化を果たすなど、コストパフォーマンスの面でも大きな改善が見られます【八木2016】。このように幅広い性能を持つ機器を使いこなす上で重要である下記の3点です。

・自社の製品群にカスタマイズした設定を行う。
・自社の品質管理体制を見直し、X線検査機で代替できる工程はなくすことで効率化を図る。
・定期的な点検を行うことで常に能力を発揮できるようにすると同時に安全性を担保する。

X線探知機の原理及び様々な機能、管理方法を熟知し、自社の製品群、品質管理体制に適合させることにより、生産性並びに不良品発見率は格段に上がります。HACCPの枠組みを用い、チーム全体で意見を出し合うことで、X線検査機の効果を最大にしていただければと思います。

 

 

参考文献

一般財団法人食品産業センター HACCP関連情報データベース 「異物混入の防止対策」

https://haccp.shokusan.or.jp/wp-content/uploads/2016/02/h25manual_2_2.pdf

金井 貴志 2014 「異物検出機の原理と適切な運用方法」『アンリツテクニカル』No. 89, pp. 44-52

サイエナジー株式会社 技術コラム「噛み込み検査とは」http://scienergy.jp/about-inspection/

高橋朋也他 2019 『最新の異物混入防止・有害生物対策技術』株式会社テクノシステム, 402p.

八木将博他 2016 「XR75 シリーズ X線検査機の開発」『アンリツテクニカル』No. 91, pp. 109-115.

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