【前編】衛生管理の質を向上!金属検出機・X線検査機の仕組みと活用法
食品工場における金属検出機やX線検査機の活用は、製造工程での異物混入対策に効果的です。しかし、検査機をただ導入しているだけでは、効果的な対策とは言えません。今回は、検査機の仕組みと異物混入リスクを最小限に減らすための活用法について解説します。前編では検査機の重要性と仕組みについて、【後編】では異物混入対策製品についてご紹介します。
金属検出機とX線検査機の重要性
食品の異物混入において、金属検出機やX線検査機はどのような役割を果たしているのでしょうか。まず、異物混入件数からわかる、検査機の重要性についてご説明します。2014年4月から2016年11月にかけて発生した、事業所での食品の異物混入が要因となる健康被害は、236件であったと報告されています。そのうち、金属やガラス片などの硬質異物が要因となったものは、214件(健康被害236件全体の90.7%)も発生しています*1。この報告からわかることは、金属やガラス片を発見することのできる金属検出機・X線検査機は、健康被害につながる異物を検出する重要な装置であるということです。異物混入対策として金属検出機やX線検査機が十分に活用されていれば、報告された健康被害の約9割は未然に防ぐことができたかもしれません。
また、金属検出機・X線検査機は、図のようにHACCP工程における最後のCCP(重要管理点)として位置づけられることが多く、ゴールキーパーのような役割も果たしています。
図:むしかまぼこの工程(厚生労働省のHACCPモデル例*2)
したがって、金属検出機・X線検査機は、健康に直接かかわる硬質異物を検出することが可能な異物検査機であり、HACCPの最後のCCP(重要管理点)として位置づけられることの多いゴールキーパーとして、非常に重要な役割を担っているのです。
金属検出機とX線検査機の仕組みと注意点
金属検出機とX線検査機の仕組みや違いなどについて解説します。
金属検出機
仕組み
金属検出機は、金属のみを通す装置です。装置のトンネル部分に磁界を発生させ、そこに検査対象が通過した際に、磁界の反応を監視します。一定のリミットを超える反応を示したときに、金属の混入として判断されます。金属検出機は、検査する製品のサイズや温度、水分量や塩分量によって感度が異なります。一般的に、サイズが小さく、低温で、水分量や塩分量が少ない製品ほど小さな金属を検出しやすくなり、反対にサイズが大きく、高温で、水分量や塩分量が多い製品ほど、小さい金属の検出が難しくなります。
注意点
①金属検出機の周囲1m以内に、他の機械を設置しない。
金属検出機は、他の機械のモーターや金属同士の接触によって発生したノイズが要因となり誤検出される恐れがあるため、他機器から1m以上離して設置しましょう。
②作業前にテストピースを使用し、動作確認をする。
検査対象が金属検出機のヘッドを通過する位置によって、検出感度が異なります。特にトンネルの真ん中を通過する際、検出感度が最も鈍くなります。そのため、テストピースは感度の低いトンネルの中央部を通過させましょう。
金属検出機のより詳しい原理については、金属検出機の性能を最大限発揮させる5つのポイントと対策をご覧ください。
X線検査機
仕組み
X線検査機は、金属と金属以外の異物を検出し、個数検査、形状検査、嚙み込み検査も併せて検査が可能です。X線発生源からX線が照射され、透過した製品をX線センサーで検知し、透過画像を生成します。その画像を自動で解析し、異物の検査や個数検査等を行います。X線検査機は、検査対象の厚みや比重によって、検出感度が異なります。検出される基準として、水に沈む異物(例えば石やガラス、硬骨、ゴムなど)は検出可能です。反対に、髪やビニール、虫や木片などは検出が困難となっています。また、X線には光学消耗品と呼ばれるものがあり、X線発生源やXセンサーが対象です。一般的には1万~2万時間で交換が必要です。
金属検出機との違い
①金属だけでなく、金属以外の異物、アルミ包装品での異物検出が可能
②個数検査、形状検査、噛み込み検査が可能
③塩分量や水分量に左右されず安定した検査が可能
④金検よりも、鉄やステンレスへの感度が高い(ただし、鉄粉やアルミホイルなどの厚みのない異物の検出は困難)
注意点
①製品サイズにばらつきがあると、検知されない可能性がある
②金属検出機とX線検査機セットでの利用を推奨
③設置する際は、労働基準監督書の届出が必要
X線検査機のより詳しい原理については、異物検査を的確に行うX線検査機。生産性向上につなげる活用方法とは?をご覧ください。
まとめ
製造工程での異物混入を防ぎ、健康被害を発生させないためには、金属検出機やX線検査機の活用は非常に重要です。それぞれの機器の仕組みをご理解いただいた上で、セットでご利用いただくことをおすすめします。次回【後編】では、異物混入対策製品についてご紹介します。こちらもぜひご覧ください。
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▼参考文献
*1 高橋朋也他2019 『最新の異物混入防止・有害生物対策技術』株式会社テクノシステム, 402p. , p. 52
*2 厚生労働省 『食品製造におけるHACCPによる衛生管理普及のためのHACCPモデル例』
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000126918.pdf
▼関連製品ページ
バーキンタ(金属検出機対応製品)
https://burrtec.co.jp/sanitary/product/kind/metal_detec/
バーキンタX(X線検査機対応製品)
https://burrtec.co.jp/sanitary/product/kind/x-ray_detector/
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