食品工場のゴキブリ対策とは?種類や発生原因、侵入防止から駆除まで

食品工場のゴキブリ対策とは?種類や発生原因、侵入防止から駆除まで

食品の安全性を脅かすゴキブリは、食品工場にとって深刻な問題です。本稿では、食品工場で発生しやすいゴキブリの種類や特徴、発生原因、そして工場に及ぼすリスクについて解説します。さらに、ゴキブリの侵入を防ぎ、万が一発生した場合でも効果的に駆除するための対策、特にIPM(総合的有害生物管理)に基づいた対策方法を詳しくご紹介します。

株式会社バーテックの防虫ブラシは、ドアやシャッターの隙間を効果的に塞ぎ、ゴキブリ侵入を阻止します。容易な設置と高い費用対効果から約21,000件以上の導入実績があり、衛生的な工場環境維持に貢献します。

1. 食品工場における効果的なゴキブリ対策:IPM(総合的有害生物管理)を基調として

IPMを基調とした、食品工場のゴキブリ対策について解説します。

(1)IPMを基調としたゴキブリ対策が求められる

食品工場でのゴキブリ対策は、食の安全を守る上で非常に重要です。IPM(総合的有害生物管理)という考え方を基調とした対策が、環境への負荷を抑えつつ効果的なゴキブリ防除を実現します。

①IPMとは何か?

IPMとは、化学的防除(殺虫剤など)に依存せず、物理的・環境的・生物的・化学的手法を組み合わせて、害虫の発生を予防・抑制する害虫管理の考え方です。以下のような多角的かつ持続可能な管理手法を組み合わせ害虫を防ぎます。

特に、食品工場は一般的な施設と異なり、以下のような制約やリスクが存在します。

  • 薬剤の使用制限:食品への残留リスク、HACCP・ISO22000などの認証基準における制限
  • 第三者監査や行政検査の厳格化:異物混入リスクを未然に防ぐ体制構築が求められる
  • ゴキブリの繁殖条件がそろっている:高温・多湿、原材料の出入り、隠れ家が多い

これらを踏まえ、食品工場では「薬剤による駆除に頼らない、事前の侵入防止と環境改善」が必須となります。

(2)IPMを基調とした食品工場におけるゴキブリ対策

IPMをベースに、食品工場における具体的なゴキブリ対策について解説します。

①清掃・整理整頓(5S)の徹底

食品工場において、ゴキブリ対策の基本は清掃・整理整頓です。これは5S活動として、多くの工場で取り組まれています。5Sとは、整理・整頓・清掃・清潔・躾の5つのSからなる活動のことです。食品工場では、この5Sを徹底することで、ゴキブリの発生や侵入を防ぐ効果が期待できます。

整理整頓によって工場内を清潔に保つことで、ゴキブリのエサとなる食物残渣やゴミをなくし、ゴキブリの発生・侵入を防ぐことができます。また、整理整頓された環境は、ゴキブリの早期発見にもつながります。

②適切な除湿・温度管理

食品工場では、食材の保管や加工のために高温多湿な環境になりがちです。しかし、このような環境はゴキブリをはじめとする害虫にとって最適な繁殖場所となります。特にゴキブリは25~30℃の環境下で活発に活動し、繁殖も盛んになります。逆に15℃以下になると活動が鈍くなり、5℃以下で活動が完全に停止すると言われています。そのため、温度管理はゴキブリの活動抑制に大きく貢献します。

湿度もゴキブリの繁殖に影響を与えます。ゴキブリは水分を多く必要とするため、湿度が高い場所を好み、特に湿度75〜100%の環境下で活発になると言われています。食品工場では、水を使う場所が多いため、どうしても湿度が高くなりがちです。こまめな換気や除湿機の活用、水漏れの修理などを行い、ゴキブリが活動しにくくなる湿度60%未満にすることが重要です。

③搬入物への卵の付着チェック

食品工場では、原材料や包装資材など、様々な物が外部から搬入されます。これらにゴキブリの卵が付着している可能性があるため、搬入時のチェックは非常に重要です。ゴキブリの卵は、卵鞘(らんしょう)と呼ばれる茶色いカプセル状のもので、チャバネゴキブリの場合約20~50個、クロゴキブリの場合約16~28個の卵が入っています。小さいため見落としやすく、一度工場内に持ち込まれてしまうと孵化し、爆発的にゴキブリが増殖するリスクがあります。

搬入物チェックの具体的な方法としては、以下の通りです。

④施設への侵入経路の遮断

食品工場へのゴキブリの侵入を防ぐためには、施設への侵入経路を遮断することが重要です。ゴキブリはわずかな隙間からも侵入するため、建物の構造上の問題点や設備の劣化状況などを把握し、適切な対策を講じる必要があります。

具体的には、以下の対策が有効です。

特に、ドアやシャッターは、常に閉鎖状態を維持することが重要です。隙間があれば、そこからゴキブリが侵入する可能性があります。

ドアやシャッターの隙間を埋めるのに、防虫ブラシは手軽なうえに効果的な対策方法としておすすめです。シャッターの隙間には「バーシャットⅡ」、ドアの隙間には「バーカットMLAシリーズ」といった製品があります。

⑤機器の隙間を埋める

食品工場内には様々な機器が設置されており、それらの機器の隙間はゴキブリにとって格好の隠れ家や通路となってしまいます。特に什器の裏やすき間、厨房機器の内部など、手入れの届きにくい場所にはゴキブリが潜んでいる可能性があります。また、大型機械やモーター部分は分解清掃が難しいため、ゴキブリに侵入されると駆除が大変難しくなります。そのため、機器の設置場所や配管周りなど、あらゆる隙間を徹底的に塞ぐ必要があります。

具体的には、以下の方法が有効です。

これらの対策を組み合わせることで、より効果的にゴキブリの侵入を防ぐことができます。
また、定期的に点検を行い、隙間ができていないかを確認することも重要です。

⑥毒餌・トラップの設置

化学的な防除剤の使用が許可されている食品工場であれば、毒餌やトラップはゴキブリ駆除において効果的な手段です。これらを適切に配置することで、ゴキブリの発生状況を把握し、効果的に駆除することができます。

毒餌には、ゴキブリが好む誘引成分と殺虫成分が配合されています。ゴキブリが毒餌を摂取すると、巣に戻ってから効果を発揮するため、巣ごと駆除できる可能性があります。設置場所は、ゴキブリの通り道や隠れ場所になりやすい場所を選びましょう。

トラップは、ゴキブリを捕獲するための装置です。粘着のりで通りがかったゴキブリを捕獲するため、ゴキブリの発生状況をモニタリングするのにも役立ちます。設置場所は、毒餌と同様にゴキブリの通り道や隠れ場所になりやすい場所を選びましょう。

毒餌とトラップを併用することで、より効果的な駆除が期待できます。設置場所の選定や定期的な交換を心掛け、ゴキブリの発生状況に合わせて最適な対策を行いましょう。

⑦薬剤施工

食品工場内での薬剤施工は、ゴキブリ対策の最終手段として、他の対策と組み合わせて行うことが重要です。ゴキブリ駆除に用いる薬剤には、大きく分けて残効性のあるものと、そうでないもの(残効性がないもの)があります。食品工場では、食品の安全性に配慮し、残効性のない薬剤を使用することが推奨されます。また、薬剤抵抗性のゴキブリの発生を防ぐためにも、薬剤の種類や散布方法を定期的に見直す必要があります。特にチャバネゴキブリはピレスロイド系殺虫剤への抵抗性を持ちやすいため、駆除には専門業者への依頼が必須となります。

2. 食品工場におけるゴキブリの主な発生原因

食品工場でゴキブリが発生する原因は多岐に渡りますが、主な原因として下記の3点が挙げられます。

(1) 高温多湿な環境

ゴキブリは高温多湿な環境を好みます。食品工場は調理や加工などで熱や蒸気が発生しやすく、ゴキブリにとって快適な環境を作りやすい場所です。特に、清掃が行き届いていない場所では、湿気が溜まりやすく、ゴキブリの温床になりやすいといえます。温度管理に加えて、こまめな清掃や換気を行い、湿度を下げる対策が必要です。

(2)排水口や隙間などの侵入口

ゴキブリは僅かな隙間からも侵入できます。食品工場では、排水口や配管の隙間、壁や床の亀裂など、ゴキブリの侵入口となる箇所が多く存在します。侵入を防ぐためには、これらの隙間を埋めたり、パテやコーキング材などで塞ぐ対策が必要です。さらに定期的な点検を行い、新たな隙間ができていないか確認しましょう。

(3)原材料の搬入・保管状況

搬入される原材料や段ボールにゴキブリの卵が付着している場合があります。また、保管場所の環境が悪ければ、ゴキブリが繁殖する原因になります。適切な保管庫を使用し、先入れ先出しを徹底することで、保管期間を短縮し、ゴキブリの発生リスクを抑制できます。搬入時には、原材料や段ボールを丁寧にチェックし、卵や成虫が付着していないか確認することが重要です。

3. 食品工場に発生しやすいゴキブリの種類と特徴

食品工場で発生しやすいゴキブリの種類は主にチャバネゴキブリとクロゴキブリです。この2種類のゴキブリは、その生態や侵入経路が異なります。食品工場で効果的なゴキブリ対策を行うためには、それぞれのゴキブリの特性を理解することが重要です。

画像引用:https://www.nihonboueki.co.jp/service-insect/cockroach/

(1) チャバネゴキブリ

チャバネゴキブリの生態と侵入経路について解説します。

①生態

体長10~15mm程度の小型のゴキブリです。体は黄褐色で、前胸背板に1対の黒い縦線があります。チャバネゴキブリは屋内性で、一年中発生し、繁殖力も非常に強いです。寒さに弱いため、暖かい場所を好み、主に食品工場内の厨房機器周辺や冷蔵庫の裏などに潜んでいます。

また、卵鞘が非常に硬く、殺虫剤が効きにくいという特徴があります。工場内で産卵されると駆除の難易度が格段に上がるため、侵入阻止が最も有効な対策です。

②侵入経路

チャバネゴキブリは飛ぶことができません。そのため、外部から侵入する場合、荷物や段ボールに紛れ込んで侵入してくるケースが多いです。また、工場内の排水溝や隙間なども侵入経路となります。

(2) クロゴキブリ

クロゴキブリの生態と侵入経路について解説します。

①生態

体長30~40mm程度の大型のゴキブリです。黒褐色で光沢があり、屋内外に生息します。チャバネゴキブリに比べて寒さに強く、17℃以下で活動が鈍るものの、越冬が可能です。

特に下水内に多く生息し、排水設備が老朽化している施設やボイラー室、ゴミ捨て場などに集まります。基本的に建物内に住み着くことはありませんが、水漏れにより水分や湿気が溜まっている屋根裏や床下に営巣する場合があります。

②侵入経路

クロゴキブリは飛ぶことができるため、工場の窓や換気口などからも侵入してきます。また、排水溝や隙間なども侵入経路となります。

4. ゴキブリの発生による食品工場へのリスク

食品工場にとって、ゴキブリの発生は事業継続を揺るがす重大なリスクとなります。食品工場における食品の安全性を脅かすだけでなく、企業イメージの失墜や法的責任を問われる可能性もあるため、徹底的な対策が必要です。

具体的には、以下のようなリスクが想定されます。

(1)異物混入

食品への異物混入は、食品工場にとって最も深刻な問題の一つです。ゴキブリの死骸や糞便が食品に混入した場合、消費者の健康被害を引き起こす可能性があります。また、異物混入が発覚すれば、商品回収や風評被害による売上減少などの経済的損失も避けられません。

2024年11月には、丸美屋食品工業の一部商品にゴキブリとみられる異物が混入していたとして、約1万5000個の自主回収が行われました。

(2)風評被害・営業停止処分

ゴキブリの発生は、企業イメージを大きく損ない、風評被害につながります。SNSなどを通じて情報が拡散されることで、消費者の信頼を失い、売上減少につながる可能性があります。また、保健所による衛生管理の指導や、最悪の場合、営業停止処分を受ける可能性もあります。

まるか食品株式会社では、2014年12月、商品の中にゴキブリが混入していたとする写真が消費者によってSNSに投稿、拡散されたことで大きなニュースとなりました。

(3)疾病の媒介

ゴキブリは、サルモネラ菌、ブドウ球菌、大腸菌などの食中毒原因菌や病原菌を媒介します。これらが食品に付着することで、消費者に健康被害を与えるリスクがあります。特に、免疫力が低い子供や高齢者は重症化する可能性もあるため、注意が必要です。

食品工場におけるゴキブリ対策は、消費者の安全を守るだけでなく、企業の信頼性と事業継続性を維持するためにも不可欠です。

まとめ

食品工場のゴキブリ対策は、製品の品質と企業イメージを守る上で不可欠です。ゴキブリの種類・発生原因・工場へのリスクを理解し、IPM(総合的有害生物管理)に基づいた多角的な対策を行いましょう。

株式会社バーテックの防虫ブラシは、ドアやシャッターの隙間を効果的に塞ぎ、ゴキブリ侵入を阻止します。容易な設置と高い費用対効果から約21,000件以上の導入実績があり、衛生的な工場環境維持に貢献します。



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