データセンターは電気代高騰への備えが必須!具体的な電気代削減の取り組みや活用できる製品などを紹介

データセンターは電気代高騰への備えが必須!具体的な電気代削減の取り組みや活用できる製品などを紹介

2024年現在、世界情勢の変化などによって電気代は高騰しています。激変緩和措置も実施されていますが、それでも電気代の高さに悩む家庭や企業は多いでしょう。

とくに、データセンターでは日々大量の電力を消費するため、電気代の高騰は大きな痛手です。電気代を削減するには「空調設備の運用方法を改善する」「コンテインメントを導入する」などの施策が必要になります。もしコンテインメントの導入を考えているのであれば、手軽に取り外せる製品の活用なども検討しましょう。

今回の記事では、データセンターにおける具体的な電気代削減の取り組みや活用できる製品などを紹介します。

電気代の高騰はデータセンターにとって非常に大きな痛手

ロシアによるウクライナ侵攻といった世界的な情勢変化や原発の稼働停止などの影響を受けて、電気代は高騰しています。2023年8月に資源エネルギー庁が発表したデータによると、家庭用・産業の電気料金平均単価は直近で以下のように推移しています。


参照:資源エネルギー庁 | 電力・ガス小売全面自由化の進捗状況についてp.16

国内のデータセンターが使う電力は日本全体の3%今後さらに増える見込み

2007 年から行われたデータセンター省エネ研究は新設データセンター消費電力を当初予想より約50% 減を達成しました。しかし、益々増大するデータセンター消費電力は 2030 年には約 30 倍の電力を IT 関連機器だけで消費する予測 *1もあり、IT 需要に対応するさらなるデータセンター省エネ技術への対応は急務であり必須です。日本国内において電気事業者の発電電力量合計は約 700 億 Kwh(資源エネルギー庁 2020 年統計)と言われており、 365 日 24 時間で割り算すると、約 80 万 Kwh(800Mwh)であり、このうちデータセンターが使う電力は総電力の約 2.5%~2.8% とされています。(日本データセンター協会 増永事務局長談)*2

PUE はデータセンターでの電力消費効率指標として日本提案により ISO 化された指標。
*1:(国研)科学技術振興機構(略称 JST)調べ
*2:データセンター規模は設備最大電力10MWとで表される。本電力量は空調や待機しているゾンビサーバを含む消費電力合計としても、
電力利用率は 20%~ 30%と低率な場合が多い。
こうした状況もあり、データセンターを運営する中では「いかに電気代を削減できるか?」という視点が欠かせません。

データセンターが実施できるコスト削減の取り組み例

上記の状況を解消するため、データセンターでは以下のような方法でコスト削減に取り組む必要があります。

● 人件費削減
● 高性能な機器の導入
● データセンターの利用料金の値上げ
● 省エネ化などによる電気代削減

人件費削減

コスト削減の取り組みで真っ先に思い浮かぶものが、人件費の削減です。

データセンターに関わらず、どの業界でも人件費は大きな割合を占めます。毎月数十万円単位のお金を従業員の数だけ支払うのは、企業にとって大きな痛手です。

現在は、一部業務をAIに任せているデータセンターもあります。例えば「温度センサーを導入して空調温度を自動調節し消費電力を最小限に抑える」などのシステムです。

とはいえもちろん、データセンターのシステムすべてを自動化することはできません。データセンターの運営には専門知識が必要であり、業界も人材不足に悩んでいる現状があるため、簡単には人件費を削減できないでしょう。

高性能な機器の導入

処理能力に優れた機器を導入することで、運用効率を高め電気代の削減につなげられます。例えば「サーバー2台分のデータを1台で処理できる機器」を導入すれば、稼働台数を減らし電気代を削減できるでしょう。

データセンターの利用料金の値上げ

データセンターの利用料金値上げも、手段のひとつです。仮にデータセンターの電気代やコストが上がっても、利用料金を値上げすれば相対的にコストを削減できます。とはいえ、利用料金を値上げすれば、当然ユーザー企業の負担は増えます。データセンターの運営企業としても、顧客の負担が増えるのは避けたいでしょう。

省エネ化などによる電気代削減

世界情勢の変化による高騰などもあり、データセンターのコストを削減するには「いかに電気代を節約できるか?」が重要です。

上記で解説したように、データセンターの運用コストの中で電気代は約15%もの割合を占めています。そのため、「省エネに対応した機器の導入」「使わない施設の電気はこまめに消す」など、さまざまな方向から電気代削減を意識した取り組みの推進が必須です。

データセンターの運用コスト削減では「電気代の削減」が現実的

データセンターの運用コスト削減に向けた取り組みとしては、主に上記の4つが挙げられます。その中でも一番現実的な取り組みが「電気代の削減」です。

「人件費の削減」は人員整理を行う必要があるため、気軽には実行できません。また、データセンターに関する専門知識を持った人材は簡単に採用できないため、どうしても人件費の削減には限界があります。

「高性能な機器の導入」は、大規模な工事が必要であり初期費用も高いため、実行のハードルは高いです。

「利用料金の値上げ」も、ユーザー企業からの理解を得るのが難しいでしょう。もし値上げに納得してもらえず、ユーザー企業が離脱したらデータセンターの売上も減ってしまい、結果的に自社の業績は悪化します。

上記を踏まえると、省エネ施策の実行による「電気代削減の実施」が最も現実的です。電気代の削減であれば、ユーザー企業やデータセンターの従業員にも負担をかけません。

データセンターの電気代を削減する具体的な施策

 

データセンターの電気代削減に向けた具体的な施策としては、以下が挙げられます。

● 最新の空調設備を導入する
● 空調効率の改善施策を実行する
● 液浸冷却を活用する
● コンテインメントを導入する

最新の空調設備を導入する

まずは最新の空調設備の導入を検討しましょう。運用効率のよい空調設備を導入し熱を効果的に排熱することで、電気代を削減しつつ処理能力を落とさずサーバーを稼働できます。

空調効率の改善施策を実行する

できれば最新の空調設備を導入することが理想ですが、コスト的に難しい場合もあるでしょう。その場合は、現状の空調設備の運用方法を変えるだけでも、省エネ化につなげられます。

空調効率を改善できる運用方法の例としては、以下が挙げられます。

● サーバールーム内に空気の通り道を作る
● サーバールームを適正な室温に保つ

冷気と暖気、それぞれの通り道を作るには、サーバールームのラックを密閉しましょう。冷気と暖気の通り道を確保することで、スムーズな空気循環を実現して空調効率を改善できます。

また、サーバールームを適正な室温(上限18℃・下限27℃)に保つことでも、空調効率を改善できるでしょう。

上記を含めた空調効率の改善方法については以下の記事で詳しく解説しています。
サーバールームの空調の種類は?設計方式の違いや運転効率の改善方法まで解説

液浸冷却を活用する

液浸冷却とは、専用液にサーバーを直接浸して冷却する手法のことです。電気を通さない性質がある専用の液体(フロリナートやシリコンオイルなど)にサーバー本体を浸し機器を直接冷やすことで、効果的にサーバーを冷却できます。効果的にサーバーを冷却できれば、空調機に熱が溜まることを防いで空調効率を改善し、結果的に電気代を削減できます。液浸冷却の具体的な内容については、以下の記事で詳しく解説しています。
【コスト削減】につながる液浸冷却とは?仕組みや重要性、導入のメリットについて解説

コンテインメントを導入する

データセンターの電気代を削減するには、コンテインメントの導入も効果的です。

コンテインメントとは、サーバールームの空調効率を改善する手法です。壁でラックを密閉し冷気と熱気を分けることで、空調効率を改善し結果的に電気代を削減できます。より削減効果を高めるには、「空調の温度を上げる」「専用ブラシを使う」なども実施しましょう。

また、コンテインメントの導入によって冷気と熱気の混ざり合いも防止できるため、温度が極端に高い箇所を排除しサーバーの故障も防止できます。

コンテインメントの具体的な内容については、以下の記事で詳しく解説しています。
コンテインメントの意味とは?データセンターでの重要性や有効的な空調効率改善法も解説

 

手軽にコンテインメントを実施できる製品も活用しよう

上記で解説したように、コンテインメントの導入も電気の代削減方法として効果的です。

ただし、コンテインメントでは物理的な壁が必要なため、大規模な工事が必要なうえ初期費用も高く、気軽には導入できません。また、液浸冷却も特殊な液体が必要なため、なかなか実施しにくいでしょう。

「効果の高い電気代削減施策を手軽に実行したい」ということであれば、コンテインメントを簡単に導入できる製品の活用も検討しましょう。弊社バーテックでも、大規模な工事不要でコンテインメントを実施できる「アイルカバー」という製品を提供しています。

アイルカバーでは、以下のカバーを取り外すことでコンテインメントを実施できます。

大規模な初期工事は不要で、専門知識がなくても手軽に設置できます。取り外しが簡単なため、もし電気代の削減効果が出なければ、さまざまな場所で試して一番効果的なところに設置可能です。データセンターの稼働は止める必要がないため、ユーザー企業に影響を与えることもありません。

具体的なアイルカバーの製品情報は以下をご確認ください。

アイルカバー

 

自社データセンターに合わせた電気代削減施策を実行しよう

データセンターの運用では電気代が大きな割合を占めるため、コストを削減するには「電気代をどこまで削減できるか?」を考えることが重要です。世界情勢の影響で電気代が高騰している現在では、とくに重要な考え方といえます。データセンターの電気代削減施策としては「空調効率を改善する」「コンテインメントを導入する」などが効果的です。とくにコンテインメントは、データセンター全体の空調効率を改善できるため、大きな電気代削減効果が期待できます。もし手軽にコンテインメントを導入したいのであれば、上記で紹介した「アイルカバー」などの製品もぜひご活用ください。大規模な工事や高額なコスト不要で、データセンターの電気代を削減できる点が魅力です。

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