食品工場内での新型コロナ等感染症対策とチェックリスト

食品工場内での新型コロナ等感染症対策とチェックリスト

状況に合わせた対策のアップデートで、感染症から従業員を守る!

新型コロナウイルスの感染拡大により、この1年余りで私たちの暮らしや働き方は大きく変化してきました。
日常生活における「3密の回避」に始まり、企業活動においても、テレワークに切り替えるなどして人の密集を避けて活動することが求められています。
一方、多くの従業員が携わる食品製造の現場においては、密が避けにくい場面が多くあります。
ではその避けられない部分において、どのようにして感染リスクを低減していけばよいのでしょうか。
今回は、食品工場内で実践できる、新型コロナウイルスをはじめとする、感染症対策のポイントとチェックリストを解説します。
(※本記事は2021年4月時点での情報を元にまとめております。自治体や各団体が社会状況に合わせてこまめにガイドラインを更新していますので、定期的なご確認をおすすめします。)

 

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感染リスクが高いポイント3つ

1:更衣室

狭い空間で大勢の人が同時に利用する更衣室は、爆発的な感染の連鎖を生むリスクをはらんでいます。
過去にも山形県の食品工場で、更衣室利用が原因と見られるクラスター発生事案が確認されています。
この工場では、従業員の家庭内感染がきっかけとなり、他の従業員と昼食を一緒に食べたり、更衣室ではロッカーを共用利用するなどしていたことから、感染が広がったと考えられています。

仕事の前後や昼食時、休憩スペースや更衣室は作業場と違い、利用する従業員の意識も希薄になりやすいため、仕組みにより未然に感染リスクを取り除くことが適切です。

対策1:更衣室を広くする/増設する
密集しないように広くするため、会議室、応接室、倉庫などに拡張、引っ越し、増設などを行う。

対策2:更衣室利用のタイミングを分散する
時差、交代、分割作業など、少人数ずつ更衣室を使えるようにする。

対策3:更衣室を使わない
倉庫、入出庫担当者など、外回り作業衣や上着を羽織るだけなど、簡易的な着替えであれば更衣室を使わない。
更衣室は、より完全な着替えが必要な清潔ゾーンに入る作業員のみが使用する。

 

2:ドアノブ、手すりなど不特定多数の人の手が触れる箇所

ドアノブや手すりなど、不特定多数の人の手が触れる箇所は、感染症を引き起こす病原体が付着しやすく、接触感染のリスクがあります。
体外へ放出された病原体は、時間の経過とともに感染性を失っていきますが、付着する対象や環境によってはしばらく生存することがあります。
新型コロナウイルスの場合、最長12時間、条件によってはそれより長く生存できると考えられています。
汚染されている可能性が高い箇所は、衛生的に保つよう、殺菌するしくみを取り入れましょう。

対策1:頻繁な殺菌習慣をつくる
食堂、休憩室、事務所、喫煙室、階段の手すり、トイレの個室ブース内の鍵、会議室や応接室のドア、その他手を触れるところは頻繁に殺菌する。

対策2:蛇口のハンドルや引き戸の引き手(カマ錠)をレバー式に変える
汚染リスクの高い指や手で操作する必要がある手回し式ハンドルを、肘で操作できるレバー式に変えることで、接触感染を防ぐ。
手で握って開け閉めする手回し式ハンドルは、手を洗った後にウイルスが手につく可能性があります。
左右や上下に動かすレバー式なら、肘などを使って操作できるため、触る部分を最小限に抑えられます。
また、引き戸の引き手も、レバーを取り付けることで、肘で開け閉めすることができるようになります。
いずれも大きな工事などは必要なく、自社で施工することができます。

 

3:外履き管理

より多くの人々が行き交い、何が落ちているかわからない工場外を移動してきた外履きのまま工場内へ入るのは、さまざまな細菌・ウイルスを持ち込む行為に他なりません。
新型コロナウイルスは、靴の底で移動することができるという情報がCDC(疾病対策予防センター)より発表されています。
また、乾燥状態にもよりますが、ノロウイルスも同じ要領で汚染を広げることがわかっています。
外履きをどこで履き替えるか、外履置き場の衛生管理を考えることが重要です。

対策:外履き置き場は工場の入り口に設置する
構造上、やむを得ず工場の中まで外履きで入ってしまう場合は、入り口に殺菌マットを設置することで、細菌・ウイルスの持ち込みを減らすことができます。
殺菌マットは、普通の靴拭きマットに塩素系の殺菌液を浸したものでよいです。あるいは薄手のコンテナに殺菌液を入れて置いておきます。

 

▼ 各ポイント・対策のより詳しい解説は、動画にてご覧いただけます。

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感染症対策チェックリスト

工場内の状態を確認し、効率的にアップデートするためにチェックリストを活用しましょう。
チェックリストを使って項目ごとに実際の状態を確認、採点(4点満点)し、満点に近づけるための改善策を具体的に書き込むことで、実行を後押しします。

>>> チェックリスト(PDF)のダウンロード <<<

 

チェックポイント

(1)玄関
通勤時などに付着した細菌・ウイルスの侵入対策を徹底しましょう。

(2)入り口付近
内部に入る前の洗浄、殺菌のルールづくりをしましょう。
検温などのチェックは洗浄、殺菌後、清潔な手で行いましょう。

(3)更衣室/トイレ
利用のルールづくりと定期的な殺菌の習慣づくりをしましょう。

(4)休憩室/食堂/事務所
ソーシャルディスタンスの確保と、スペースを広く確保するための室内の整理整頓を進めましょう。

(5)エアシャワー
効率より安全を。大型のものでも一人ずつ利用しましょう。

(6)入出庫
外部との接触、搬出入業者の出入りがあるため、殺菌・洗浄を徹底しましょう。

(7)製造室
泡洗浄機を使った衛生管理を徹底しましょう。

(8)全般
基本は非接触化を進めましょう。
ペーパーレス(電子化)を進めることで、5S(7S)活動にもつながり、仕事の効率化にもなります。

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▼ より効果的にチェックリストを利用するために、動画のご視聴をオススメします。

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まとめ

不特定多数の従業員が働く工場内では、どうしても人との接触が避けられない場面が多くあります。
しかし、それを仕方ないとし、リスクに対して見て見ぬふりをすることは、従業員の健康を脅かし、ひいては企業活動に支障をきたす恐れまであります。
働く環境も、ルールや仕組みをアップデートすることで、新型コロナウイルスだけでなく、その他の多くの感染症や食中毒の発生を防ぐことができます。
また、工夫次第で、大規模な改修やリフォームをせずに対策を実施することも可能です。
「Withコロナ」の段階に入った今、感染症から従業員を守り、企業活動を続けていくため、既成概念に捉われず、環境を整えていくことが求められています。

 

参考文献:吐しゃ物を踏みつけた場合の歩行によるウイルス伝搬~靴と床面の間のウイルス移動率~

 

 

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