野生動物専門家に聞いた!建物や窓シャッターに棲みつくコウモリの対策方法

野生動物専門家に聞いた!建物や窓シャッターに棲みつくコウモリの対策方法

コウモリが建物に棲みつくと、糞や臭いなどの様々な被害が出る恐れがあります。今回のコンテンツでは、長野県松本市で野生生物の駆除や対策工事、調査研究を専門に行っている、かわほりプリベントの山岸淳一氏から、コウモリの生態やコウモリによる被害とその対策方法について解説していただきます。

コウモリの生態

コウモリの種類について

コウモリのご相談を受けてお客様のところへお伺いすると、「コウモリが棲みついて驚いた。コウモリなんて山の中の洞窟にいるものだと思っていた。」というお声をよく聞きます。コウモリはいろんな地域で、様々な場所で生活しています。日本でもビルが立ち並ぶ大都会で見ることが出来ますし、北海道から沖縄まですべての都道府県にコウモリは暮らしています。

日本には、洞窟に棲むコウモリ、森の中で木の洞穴や樹皮の中に棲むコウモリ、住宅の天井裏や瓦の中に棲むコウモリなど、様々な種類がいます。現在、日本に生息している35種のコウモリのうち、33種が昆虫食で、蚊、蛾、ユスリカなど小型の飛翔性昆虫を食べています。残りの2種のコウモリは植物食です。

みなさんが普段見かけるコウモリのほとんどは、アブラコウモリという種類だと思います。アブラコウモリは、ヒナコウモリ科の小さなコウモリで、体重は5~10グラム程度。指先に乗ってしまうほど小さなコウモリです。翼を広げて飛べばもっと大きく見えるのですが、人によっては「黒い蝶が舞っているみたいだ」と表現する人もいます。住家性コウモリと呼ばれる、人間の建造物のみを利用するコウモリで、住宅の天井裏、壁の中、瓦の隙間などに棲んでいます。

コウモリの生活スケジュール

ここでコウモリの生活について見てみましょう。コウモリの生活は、日本の四季と密接な関係があります。

コウモリの一年間

冬:冬眠
春:活動開始、妊娠
夏:活動最盛期、出産と子育て
秋:冬眠準備、交尾

ちなみに日本のコウモリは冬眠をしますが、熱帯地域のコウモリは冬眠しません。冬眠とは、寒さに適応した進化といえるでしょう。

アブラコウモリのある一日

18:30 巣から飛び出して飛んでいる虫を食べる
19:30 近くのお気に入りの休憩場所(ナイトルースト)で壁にとまって休憩
21:00 違う場所に移動してまた虫を狩る
22:00 休憩場所に移動してまた休憩。巣へ帰る仲間も出始める
5:00 巣に帰宅

代表的な1日の生活スケジュールは以上の通りですが、巣を出てから2時間程度で帰ってくるもの、明け方まで帰らないもの、いったん帰宅してまた出ていくものなど、コウモリによって生活スケジュールは様々です。基本的に日没後の数時間が一番活動が活発な時間ですので、コウモリを見たい場合は、この時間がベストです。

コウモリによる被害と対策の注意点

外で飛んでいる分にはかわいいコウモリなのですが、人間の建物で生活してしまうと、困ったことが時々おきます。コウモリの糞、尿による汚れ、臭い、寄生するダニの被害、アレルギー症状を訴えるお客様もいらっしゃいます。住宅の壁を休憩場所にしてしまうと、外壁が尿のシミで汚れ、そのシミはなかなかとれません。休憩場所として使用する頭数や頻度が増えると、一日でコウモリの糞がどっさりなんてことになる場合もあります。

写真:外壁に付いたコウモリの尿

 

私のところへ来るコウモリの相談としては、大きく分けて以下の2つのパターンがあります。

①コウモリの糞や尿で困っている

コウモリが壁にぶら下がることにより糞や尿の被害が出る場合は、その場所が、コウモリが狩りをする時の休憩場所(ナイトルースト)になっていることがほとんどです。対策としては、ネットで飛来を阻止する方法や専門の器具を取り付けて防ぐ方法が有効ですが、一長一短あります。私の場合、通常の住宅や建物は、独自の飛来防止器具を取り付けることで効果を上げています。

コウモリ対策の注意点として、コウモリ忌避スプレーは、コウモリのぶらさがりや壁どまり対策には効果的ではないということが挙げられます。市販のコウモリ忌避スプレーの有効成分はハッカですが、効果が続く時間はわずか数時間であり、雨に濡れてしまうとさらに短くなります。例えば、昼間に壁へスプレーをすると、夜には効果がほどんどなくなっていると考えられます。我々業者もコウモリ忌避スプレーを使うことがありますが、それは狭い空間からコウモリを追い出す時に使う程度です。

②コウモリが建物に棲みついて困っている

コウモリが建物に住みついてしまった場合は、コウモリを追い出してから侵入口を塞ぐということがセオリーです。狭い天井裏での作業になることが多く、糞の殺菌清掃やダニの消毒が必要になる場合もあります。

侵入口を塞ぐ際の注意点としては、コウモリを確実に追い出してから塞ぐことです。閉じ込めたまま塞いでしまうと、その死骸が腐って匂ったり、カツオブシムシなど虫の発生源になる恐れがあります。

窓シャッターのアブラコウモリ対策には「バーカットMLA」

窓シャッターを開け閉めした際に糞が落ちてきたり、夕方になるとコウモリが出入りしたりしているところを見たことはありませんか?家庭用窓シャッターには20mm程度の隙間がありますが、その隙間からコウモリが侵入する恐れがあります。そのような場合は、「バーカットMLA」で隙間をカバーすることをおすすめします。バーカットMLAの全高45mmは、多くの窓シャッターのボックスと表面の凸凹にフィットするサイズです。また、両面テープ付きのため、取付け時間約5分程度で簡単に取り付けることができます。

バーカットMLAの特長

・隙間の大きさに合わせて、3種類の毛丈の長さ(10mm/25mm/40mm)をお選びいただけます。
・フレキシブルなブラシフレームのため、取り扱いがしやすく、加工もハサミでOK。
・裏面には「3M社製」のVHB強力両面テープ付き。施工時間の大幅短縮!

▼製品ページはこちら
バーカットMLA

バーカットMLAの施工手順

(1)窓シャッターの隙間を測る
(2)糞の清掃、取付け場所の清掃
(3)バーカットMLA25を取付ける
(4)窓シャッターの開閉を確認する

*バーカットMLAの全高は45mmです。取付け場所の幅をご確認ください。
*仕様により、お取付けできない窓シャッターや雨戸もあります。

作業はコウモリが出て行った夜に行うか、市販のコウモリ忌避スプレーで追い出した後に行うのが良いでしょう。

▼バーカットMLAの施工動画はこちら
https://youtu.be/Dro5Hy8VHBQ

まとめ

今回は、コウモリの生態やコウモリによる被害、対策方法についてご紹介しました。ペストコントロール(有害生物の駆除管理)業界においては、防除に対する効果が求められる一方で、持続可能な社会を実現するために、環境への負荷低減も求められています。持続可能な開発目標SDGsで重視される生物多様性の観点でも人間にとって不快だからという理由だけで、薬剤で殺生してよいはずがありません。当社は隙間対策用ブラシによって人と動物との住環境を分け、不要な接触を減らすことで、人と動物が共存できる環境づくりに貢献してまいります。

かわほりプリベント 山岸淳一氏について

かわほりプリベント 代表 山岸淳一氏

長野県塩尻市生まれ、松本市在住。保健所、ペストコントロール企業を経て、現在は野生動物や有害生物の対策を専門におこなう、かわほりプリベント代表。この他に複数の企業で技術顧問を務める。

コウモリが好きで、友人や家族からは「コウモリ馬鹿」と呼ばれている。真っ暗な森の中でコウモリの生息調査をしたり、コウモリの出す超音波の波形を眺めるのが趣味。コウモリの住宅被害を減らす製品の研究開発に力を入れており、人間とコウモリが良い関係で共存できることを目指している。

株式会社バーテックとは、ネズミ対策の共同研究や新しい製品の開発で協力関係にある。

 

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