甘酒および米の製造、販売
バーテックが提案した洗浄用ブラシは、
耐久性が従来のブラシの4倍になりました。
有限会社亀の甲 様
大分県佐伯市の直川(なおかわ)地域で甘酒製造を行う有限会社亀の甲では、充填用ノズル内の洗浄、シャッターおよびドアの防虫・防水対策において、バーテックの製品を使用しています。今回は、バーテックの製品を導入した経緯と評価について、柳井強工場長に詳しくお話を伺いました。
Q)有限会社亀の甲の主な業態を教えてください。
有限会社亀の甲の主な業態は甘酒の製造・販売です。地元で生産されたヒノヒカリ米をはじめ、国内産の米を原料にして、無加糖、添加物不使用の甘酒を製造しています。昭和62年、ぶんご銘醸で甘酒の製造を開始して以来、つねに昔ながらの麹造りの技を磨いてきました。
甘酒は、米を蒸して麹を加えて、タンクで14時間置き、米のデンプンを糖化させていきます。こうすることで自然の甘みと、とろりとした粘度の高い甘酒が完成します。当社が製造する甘酒は、当社ブランドとしてだけでなく、全国から持ち込まれるこだわりの米でOEM製造し、オリジナル産地の甘酒として全国に販売されています。
オリジナルの甘酒は地元直川産米ヒノヒカリを原料に砂糖、添加物不使用で製造されている
主な販売先としては、九州各県、東北の単位農協、コープおおいた、グリーンコープおおいた、その他コープです。
今年の夏、全国区のテレビ放送で、「甘酒を朝に飲むと夏バテ防止に効果がある」と何度か取り上げられたことで、新規の問い合わせ、既存取引先からの受注が大幅に増えました。本来、甘酒は年末に向けて生産量が上がっていくのですが、今年の8月は盆の休暇もほとんど取れないほど生産に追われました。8月単月で、昨年比3割増しの生産量になる見込みです。
また、甘酒の製造・販売以外にも、地元直川産のお米「ヒノヒカリ」の生産・販売や、甘酒のサプリメントの販売もはじめています。
大釜で蒸した米をタンクに移し、麹を加え14時間ほど糖化させて甘酒を造ります
Q)有限会社亀の甲で使用しているバーテックのブラシについて教えてください。
甘酒を瓶に充填するノズル内の洗浄用のブラシと、衛生管理用ほうきを使っています。
特注コンデンサーブラシ
甘酒を瓶に充填するノズル内の洗浄に使用しています。このブラシは、今回バーテックに特注で作ってもらいました。ノズル内は細いうえ、規格品のブラシではノズル内の奥まで届きません。このブラシは長さが47cmとじゅうぶんな長さがあります。
今回、特注で発注したノズル内洗浄用ブラシ。ブラシが細く、長いものは規格品で見つからなかった
衛生管理用ほうき ステンレス柄付きセット
工場内の床清掃用に使用しています。以前は量販店などで市販されている庭ぼうきを使用していましたが、毛腰が柔らかく、床に散らばった瓶と粘度の高い甘酒が混ざり、掃きにくくて大変でした。バーテックのほうきは毛足が短く、現場からはとても掃きやすいと好評です。
現在はサンプル品を使用しており、導入を検討しています。
Q)特注以前に使用していたノズル洗浄用のブラシはどんなものだったのでしょうか。
特注でお願いする以前は、他の醸造メーカーを通じて購入していたブラシを使用していました。毛が細くて、ブラシの長さもじゅうぶんにありましたが、鉄製の軸が細く、使用していると「クニャクニャ」になり、洗浄しにくくなってきます。また、毛が動物毛のため抜けやすく、およそ2週間で交換しなければなりませんでした。
Q)それほど頻繁に交換しなくてはならないのですか。
軸が柔らかいことより、毛抜けによる異物混入が心配だからです。弊社が異物混入に気を使っている理由は下記のとおりです。
毎日、ノズル内を洗浄する必要がある
甘酒の20%はブドウ糖でできています。わずかな細菌が入りこんだだけで、発酵がすすんでしまい商品化できなくなるため、毎日、ノズル内を洗浄する必要があります。生産量が多くなると、ブラシの毛抜けの可能性も高まります。
瓶詰前に「濾す」という工程がない
酒、焼酎などは瓶詰前にフィルターを通す、「濾す」という工程があり、異物混入を防ぐことができます。しかし、甘酒にはこの「濾す」工程がありませんので、異物がそのまま瓶に充填されるおそれがあります。
従来使用していたブラシ。毛が抜けやすく、軸が細く使い勝手が悪かった
(左)甘酒を瓶に充填する。濾す工程がないため、異物混入には細心の注意を払っている
(右)毎日、手作業で充填ノズル内を洗浄する。わずかな細菌で発酵が進んでしまう
Q)バーテックに特注したブラシについてお聞かせください。
今年の4月末の商談の際、バーテックにノズル内を洗浄するブラシのことを相談しました。1か月もせずに、最初の試作品が届きました。
しかし、まだ少しだけ軸が柔らかいと感じたため、再度、仕様変更をお願いし、8月中頃に完成。1本購入し、テストしました。改善点は下記の2点です。
1. ブラシの軸を太くした
従来のブラシは軸の直径1.5㎜でした。最初の試作品では直径を1.7㎜に、最終的に2.2㎜に仕様変更しました。鉄製の軸もステンレス製に変更し、使い勝手と耐久性が向上しました。
2. ブラシの毛を、動物毛からポリプロピレンに変更した
従来のブラシの毛は動物毛を使用していたため、毛抜けが多かったのですが、バーテックの特注のブラシは1ヵ月使用してみても、毛が抜ける気配がありません。異物混入のリスクが軽減されました。
ブラシの軸、毛の仕様変更により、2か月は交換しないでいい見通しです。従来使用していたブラシが2週間でダメになっていましたから、少なくとも4倍は耐久性が上がったことになります。
「ブラシの耐久性は、少なくとも4倍は向上しました」と柳井氏
従来のブラシ。
動物毛の毛は抜けやすく、軸も細く使い勝手も悪かった
バーテックに特注したブラシ。
ポリプロピレン製の毛は抜けにくく、軸も太くなった
Q)工場のシャッターに、バーテックの「バーシャット」を取り付けていますが、その目的についてお聞かせください。
今年の6月にシャッター隙間対策用ブラシ「バーシャット」をシャッターの上部とサイドに取り付けました。工場が山の中にあるので、防虫の観点から取り付けを決めました。シャッターのサイド部と下部の隙間について、取引先であるコープ様から、異物混入の可能性があると指摘されていたからです。現在、データを取りながら検証しているところです。
また、数年前、ネズミが大量発生した年があり、ネズミ取りをシャッターの両端に仕掛けたらつかまっていました。シャッターの脇の隙間からうまく回りこむようです。現在は、ネズミは発生していないため検証はできていません。
Q)シャッターの防虫対策として、ブラシ以外は検討されたのでしょうか。
いいえ。他社製品との比較検討はしませんでした。今年の3月に消毒会社からバーテックのカタログをもらい、「バーシャット」を知り興味を持ちました。5月の展示会でも確認し、今年の6月にシャッター隙間対策用ブラシ「バーシャット」を取り付けました。
(左)防虫対策としてシャッターに取り付けたシャッター隙間対策用ブラシ「バーシャット」
(右)シャッターのサイド部と下部の隙間をふさぐことができる
Q)「バーシャット」と同時に、工場内と外のドアの2カ所に「バーカット」を取り付けていますね。
工場内のドアは水の侵入防止として取り付けました。1日に2回、工場内で大量の水を流しますが、その水がドアの隙間から原料処理室に流れ込んできていました。
「バーカット」を取り付けたところ、それまで川のように流れていた水が、じわっと染み出る程度で収まっています。原料処理室は、空調をかけてつねに乾燥させていますので、すぐに床も乾きます。
工場の外のドアは、虫の侵入を防ぐために取り付けました。「バーカット」だけの効果とは言い切れないものの、消毒会社のデータでは、昨年と比較して捕虫器にかかる虫の数は半減しています。
水の侵入防止のため工場内のドアに取り付けた「バーカット」
工場の外のドアの「バーカット」で、虫の侵入を防ぐ
Q)バーテックのことをどのようにして知ったのですか。
今年の3月、付き合いのある消毒会社の担当者からバーテックの「ほうきキャンペーン」のことを聞いて知りました。消毒会社から「ほうきキャンペーン」サンプルの衛生管理用ほうきと、バーテックのカタログを渡されました。
4月末、バーテックの澤西さんが消毒会社の担当者と来社し、そのときに、前述の「充填ノズル内の洗浄ブラシ」の相談をしました。5月には福岡で開催された西日本食品産業創造展にてバーテックのブースにも顔を出し、6月には、「バーシャット」「バーカット」の取り付けを行いました。
Q)これまでのバーテックの対応はいかがでしたか。
今回、ノズル内の洗浄ブラシを特注しましたが、問題をきちんとヒアリングし、すぐに試作品を作ってきてくれました。2度目の仕様変更にも素早く対応、納得のいくブラシを完成してくれました。
問題が発生したときの行動も迅速でした。6月に取り付けた「バーシャット」の一部が、取り付けて1ヵ月ではがれてしまいました。シャッターのへこみが原因とわかり、両面テープで応急処置をしましたが、バーテックの澤西さんより、「すぐにうかがいます」という連絡がありました。6月の取り付けの際にも、施工立ち会いをしてもらったばかりなので、大阪からわざわざ来てもらうのも悪いなとは思いましたが、そう言ってもらって安心したのを覚えています。
バーテックの澤西さんは、丁寧にヒアリングしてくれるので相談を持ち掛けやすいですね。これからも困ったことがあれば、まず相談したいと思います。
Q)バーテックへの期待、要望があればお聞かせください。
これからも徹底したヒアリングで、困ったことを解決する製品を作ってほしいですね。甘酒製造は、細菌との戦いと言ってもいいくらい、衛生管理に終わりがありません。ひとつ解決すれば次の問題が起こるといった具合です。当社の甘酒の賞味期限は現在半年ですが、環境をもっと改善すれば、賞味期限が1年になるかもしれません。
また、他の食品会社が行っている洗浄の仕方、防虫対策などの情報をシェアしてほしいと思います。そうすることで共通の課題がわかれば、新しい製品の開発につながり、その製品によって課題が解決されると思います。各食品会社の橋渡し役として期待しています。
柳井氏(右)と弊社・澤西(左)
お忙しい中、ありがとうございました。
取材日時 2013年8月
取材・執筆 カスタマワイズ
有限会社亀の甲 様
創立:2004年(平成16年)
代表者:狩生健之
売上高:約1億14百万円(平成23年度)
従業員:6名(パート2名含む)
Webサイト:http://koujinoamazake.com/
有限会社亀の甲は、大分県の佐伯市直川地域で創業100年を超える老舗酒造会社「ぶんご銘醸」の甘酒製造部門を引き継ぎ、甘酒製造の専門工場として平成16年に設立しました。地元直川地域や全国のお米を原料として、米、米麹のみを使用し、砂糖・添加物をいっさい含まない昔ながらの製造にこだわっています。
年間生産量は、5合瓶(900ml)換算で約40万本。業界有数の生産量を誇っています。
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