伸びるデータセンター市場に求められる「省エネ対策」

伸びるデータセンター市場に求められる「省エネ対策」

成長を続けるデータセンター市場の電力消費量は、最大級の電力を消費してます。その消費量は世界の電力の2%ともいわれていて、航空業界全体とほぼ同量のCO2を排出していることになるのです。また、その電力消費量は、年々増え続けています。2022年、データセンター業にもベンチマーク制度だ導入され、省エネ対策が急がれるようになりました。現状や対策、課題などを考察し、効果的な省エネ対策について紹介します。

伸びるデータセンター市場

データセンターの基本情報

データセンターとは、インターネット用のサーバやデータ通信などの装置を安全に設置・運用することに特化した建物のことを指します。災害時にもサービスの提供が続けられるようにと建物自体も耐震構造とされているのです。電力供給が途絶えた場合を想定して、自家発電装置や蓄電池等を備えています。
もし建物内で火災が発生した場合、中に設置されている機器類にできるだけ影響を与えないために通常建物に設置するスプリンクラーは使わず、二酸化炭素やフロンガスを使った消火の設備を整えています。
さらに、情報セキュリティ面においても堅固なため、自社内にサーバを設置するよりもデータセンターサービスを利用した方がメリットが多いと考えられるようになり、日本のデータセンター市場規模が拡大してきました。

伸びるデータセンター市場と今後の見通し

総務省発表の「令和4年 情報通信に関する現状報告の概要」によると世界の大規模データセンターの数は、増加傾向が継続し、2021年第3四半期末におよそ700にまで増加しています。
世界のデータセンター容量に占める割合は、米国が49%とほぼ半分を占めており、次いで欧州・中東・アフリカ地域(19%)、中国(15%)、中国以外のアジア・太平洋地域(13%)となっています。世界のデータセンターシステムの市場規模(支出額)は、2021年に23兆7,069億円で、前年比24.0%増となりました。新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で2020年は一時的に減少に転じたものの、2021年は2019年とほぼ同じ水準に戻っています。
日本のデータセンターサービスの市場規模(売上高)は、2021年に1兆7,341億円で、前年比11.6%増となっています。今後も売り上げは増加するものとみられており、2024年には2兆5000億円と予想されています。

データセンターの現状

データセンターにおける電力消費量

国内のデータセンターにおける消費電力量は約 140 億 kWh(2018 年)と推計され、日本全体の消費電力量(9,815 億 kWh)の約 1.4%を占めています。(※出典:国立研究開発法人科学技術振興機構 低炭素社会戦略センター「情報化社会の進展がエネルギー消費に与える影響(Vol.2)-データセンター消費エネルギーの現状と将来予測及び技術的課題-」令和3年2月)今後、デジタル化の進展に伴い、国内のデータセンターの消費電力量は更に増加していくことが予想されます。

今後の電力消費量の見通し

現在の技術のまま省エネ対策がなされないと仮定すると、今後の電力消費量は、情報関連だけで約30年後に5,000Pwh(petaWh=1015Wh)と、現在の世界の消費電力約24PWhを大きく上回ると予想されています。(※出典:国立研究開発法人 科学技術振興機構低炭素社会戦略センター情報化社会の進展がエネルギー消費に与える影響 Vol.1)今後、電力消費量の増加を抑えることは費用面だけでなく、環境保護の観点からも大きな課題であると言えます。

ベンチマーク制度導入に伴い、データセンター市場に求められる省エネ対策

 

資源エネルギー庁は、ベンチマーク制度により省エネを推進していますが、2022年4月に見直しが行われ「データセンター業」も含まれることになりました。ベンチマーク制度とは、同じ業種・分野で共通の指標=ベンチマーク指標による目標を定めることにより、他事業者との比較による省エネ取組の促進を目的としています。
ベンチマーク制度を取り入れることで、省エネの状況が他社と比較して進んでいるか遅れているかを把握することができます。なお、データセンター業のベンチマーク指標には、エネルギー使用効率を測るPUEが採用され、目標値が「1.4」と設定されました。
(PUEは、データセンター全体の消費電力量(kWh)/IT機器の消費電力量(kWh)で算出)

参考URL:https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/enterprise/factory/support-tools/data/2022_01benchmark.pdf

データセンターの省エネ対策を考える

ベンチマーク制度が導入されたデータセンター業に対し、どのような省エネ対策が効果的なのでしょうか。

IT機器や空調設備の高効率化

IT機器や空調設備を少ない電力でも処理能力に優れている効率化の高い設備に入れ替えます。ただし、減価償却期間中の導入は、既存設備を破棄しての導入となりかえって割高になってしまうリスクがあります。基本的には、機器の増設時や、償却期間終了後の入れ替え時期で行うのが現実的です。

外気を利用する冷却システム

空調機を導入する時に、単に性能の高いものを選ぶのではなく、水冷・空冷式の冷却システムや局所冷却システムなどの導入も検討してみる価値はあります。中には、外気を利用する外気導入式空調機もあります。データセンター内の温度よりも外気の方が低い寒冷地などの場合は、外気を用いて冷却できるので電気代の大幅な削減が期待できます。なお、導入のタイミングは、新設時や減価償却終了後になるでしょう。

適正な空調管理

一部の箇所の温度を下げたいのに、空調の冷却に偏りがあると非効率に冷却していることがあります。温度を下げたい箇所をピンポイントで冷却できるようにすれば、比較的無駄がなくなります。空調機によっては、急な冷却のためにフル稼働させると、機会に負担を与えてしまい運転効率の低い稼働状況になってしまう可能性がある上、故障しやすくなります。空調機の処理能力を把握したうえで稼働させましょう。

AIを活用した空調自動制御

 

AIを活用することで、効率の良い自動空調管理が期待できます。ラックごとに細やかに温度を計測し、温度が上昇した時にはその周辺だけ空調を稼働させたり、データセンター内の各所で温度を計測し、どこがどのタイミングで温度が上がりやすいのかといった計測結果をデータ化して、空調の稼働に役立てたりすることができます。AI導入による最大のメリットは、サーバーの安定稼働に加え、地球環境問題への貢献も両立できることです。

省エネ対策における課題

ベンチマーク制度の導入もあり、今後、データセンターの省エネ対策は進んでいくと予想されますが、その中でどんな課題があるのかをまとめてみました。

発熱量が増加するデータセンターへの対応

近年の5G・IoT・AIなどの導入に伴いデータ量が爆発的に増加しています。これらを処理するために、ICT機器の電力密度、ラック当たりのサーバ搭載数、さらに各ICT機器のCPUの処理時間は増加傾向にあります。その影響を受け、データセンターの発熱量は増加し続けているのです。発熱量の増加は、機器の故障や誤作動を招いてしまうため、トラブルのないデータセンター運用のためには安定した熱対策が求められています。冷却装置の増設などで温度は抑えられるかもしれませんが、電力量やコスト、地球環境のことまで考えた上での対策となると課題が残ってしまいます。

設備投資にかかるコスト

1KWhの機器を安定動作させるために、さらに1KWhの空調機器を利用している場合、本来の目的に使用する2倍の電力が必要になり、その分コストも倍増してしまいます。省エネを意識した効率的なデータセンター運用のためには、電力やコストを重視した対策が迫られます。

適正な空調管理のためのセンター内の改装の手間

データセンターの適正な空調管理のために改装して大がかりな設営となると、時間も費用も掛かってしまいます。また、その間サーバーが使えなくなってしまうなど別のトラブルが懸念される可能性があります。できるだけコストや手間をかけずに空調管理を整える対策が求められています。

コストや手間がかからない省エネ対策のニーズが高まっている

年々、サーバーは、高性能、小型化していますので、データセンターには、ICT機器が非常に高い密度で設置された状態となっています。このため、データセンターの発熱量も増加し続けています。しかし、「熱」をそのままにしておけば故障や誤作動につながるため、速やかに冷却する必要があります。データセンターを冷却するためには、空調機を増設し、対応するのが一般的です。しかし、追加での投資や電力量の増加などコストがかかってしまいます。これは、費用だけでなく地球環境保護の観点からも問題があります。データセンターにおける省エネは、コストも電力量も抑えながら進めることが課題となっています。

問題解決に役立つ製品 「アイルカバー」

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しかし、稼働中のデータセンターを止めて、空調効率をあげるための工事をすることは現実的ではありません。工事のひとつの手段としてコンテインメント(キャッピング)が挙げられますが、専門的な知識、設計が伴うため、導入時にコストが高額になったり、納期がかかるといった課題がありました。これらによって、データセンター業界では空調効率を上げたくても、上げることができない現状がありました。
このお困り事を解決すべく、バーテックではサーバを止めることなく工事が不要で、誰でも設置ができるコンテインメントキット(キャッピング)開発しました。

特徴・メリット

バーテックのアイルカバーは組立には工具が不要です。組立は両面テープで貼るだけ、載せるだけのため、サーバを止めずに導入することが可能です。また、規格された製品のため、設計のコストはかかりません。最後にブラシによる自動調圧機能がサーバのファンの故障リスクを軽減します。

アイルカバー

まとめ

バーテックは、「ブラシで世界を変えよう」というブランドビジョンを掲げています。バーテックのブラシで、現場で起こっている問題を解決するだけでなく、社会問題や環境問題の解決にまで貢献していきたいという想いを込めています。データセンターの省エネ対策としてぜひ取り入れてみてください。

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