ブランクパネルとは?サーバーラックへの効果や種類、選び方など解説

世界的なAIの普及や暗号資産マイニングの需要が加速する中、データセンターの電力消費は年々増加しています。これに伴い、サーバーから発生する熱の管理、いわゆる「排熱対策」は、ITインフラの安定運用に欠かせない課題となっています。
中でも注目されているのが、サーバーラック内のエアフローを最適化する「ブランクパネル」です。本記事では、ブランクパネルとは何か、その役割や種類、導入による効果について詳しく解説します。
サーバーラックのブランクパネルについてお探しなら、株式会社バーテックの「ブランクパネル・ブラシタイプ」がおすすめです。ケーブルの引き込み口がブラシであるため整線を行いやすく、さらに空気の流れをコントロールし排熱の回り込み防止に貢献します。
1.ブランクパネルとは?役割や効果について

データセンターやサーバールームでは、機器の安定稼働を支えるため、サーバーラックの空いたスペースに「ブランクパネル」を設置することが一般的になっています。ここでは、ブランクパネルが果たす基本的な役割やその重要性について解説します。
(1)ブランクパネルとは?

ブランクパネルは、サーバーラック内の空きスペースをふさぐために使われる専用パネルです。
サーバーやネットワーク機器は稼働中に多くの熱を発しますが、ラック内に空きスペースがあると、サーバーの背面から排出された熱が前面の吸気側に回り込み、冷気と混ざってしまうことがあります。このような状態では、サーバーが再び温かい空気を吸い込んでしまい、冷却効率の大幅な低下につながってしまいます。また、熱がうまく排出されないと、機器内部の温度が上昇し、性能低下や故障の原因になるため、ラック内の空気の流れ(エアフロー)を整え、効率よく冷却することが重要です。
そこで役立つのがブランクパネルです。ラック内の未使用スペースをしっかりとふさぐことで、排熱が前面の吸気側に回り込み、再度吸入されることを防ぎます。その結果、ラック全体の冷却効率が高まり、サーバーやネットワーク機器を適切な温度で安定して運用することが可能となります。
(2)ブランクパネルの効果について
サーバーラックにおける冷却効率を高めるために、ブランクパネルは具体的にどのような働きをしているでしょうか。ここでは、ブランクパネルが持つ主な効果について順番に紹介していきます。
①排熱の回り込み防止

サーバーラック内に隙間があると、機器の背面から排出された高温の空気が前面の吸気側に回り込み、再び機器に取り込まれる「排熱の回り込み」が発生します。この現象は冷却効率を大きく低下させ、過熱や動作不良の原因となります。
ブランクパネルは空きスペースを塞ぎ、空気の流れを制御することで、排熱の回り込みを防ぎます。その結果、冷却効率が向上し、サーバーが取り込む空気の温度を最大12℃低下させる効果も確認されています。
②ホットスポットの発生防止
ラック内の冷却が不十分になると、特定の場所に熱が集中する「ホットスポット」が発生し、機器の故障リスクが高まります。ホットスポットは、ラック内で冷却が不十分なために特定の場所で異常に高温になる現象です。
この原因のひとつが、ラック内の空きスペースです。未使用のスペースがあると、冷たい空気が本来通るべき経路を外れて漏れ出し、代わりに高温の排気がラック内を循環しやすくなります。その結果、必要な箇所に冷気が届かず、機器の周囲にホットスポットが発生します。
ブランクパネルを設置することで、空きスペースを確実にふさぎ、空気の流れを適切に誘導できるようになります。滞りなく流れる空気はラック内をバランスよく循環し、機器全体に均等に行き渡るため、ホットスポットの発生リスクを低減できます。
③冷却システムの効率化とエネルギーコストの削減
ブランクパネルを設置し空気の流れを最適化すると、空調設備への大幅な負荷減少も期待できます。排熱の回り込みやホットスポットを予防することで効率的な冷却が可能となり、冷却装置の稼働そのものが抑えられるからです。結果として、冷却装置のエネルギー消費が削減され、エネルギーコストの節約が実現します。
さらに、冷却効率の向上は、データセンター全体の温度管理の安定にも寄与します。過度な温度変動が抑えられることで、サーバーやネットワーク機器への負荷が減り、故障リスクが低下するため、長期的な運用コスト削減にも繋がるでしょう。
2.ブランクパネルの種類と特徴

ブランクパネルには、さまざまな素材や構造のタイプがあり、設置環境や目的に応じて使い分けることが重要です。本項では、それぞれの特徴について詳しく紹介します。
| タイプ | 特徴・特性 | 適したシーン | 総合評価 |
| 金属製 | ・耐久性が高い ・価格は高め |
・機器の保護をより確実にしたい場合 ・人やモノの出入りが多い場所 |
性能は良いが導入コストが高め |
| プラスチック製 | ・軽量で扱いやすい ・価格が低め ・金属製ほど耐久性は高くない |
・レイアウト変更が多い現場 ・低予算のケース |
手軽だが耐久性が低い |
| ブラシタイプ | ・柔軟で作業性◎ ・ケーブルの整線・保護が可能 |
・冷却効率と作業性を両立したい場合 ・多様なケーブル配線が必要なラック環境 |
・空気の流れを遮断しつつケーブルの引き込みもできるため、様々なシーンに優れている |
(1)金属製
金属製のブランクパネルは、特に耐久性に優れているのが大きな特徴です。頑丈な構造により、外部からの物理的な衝撃にも強く、時間経過による劣化が少ないため長期間使用することが可能です。
金属製パネルはその耐久性の高さから、重要な機器を外部のダメージから保護したいシーンにも適しています。特に製造現場や倉庫における小規模サーバーラックでは、設備の振動対策や、人・モノの接触や衝撃を考慮する必要があり、耐久性に優れた金属製ブランクパネルの使用が推奨されます。
ただし、プラスチック製のブランクパネルと比較すると費用が高く、重量もある点には注意が必要です。
(2)プラスチック製
プラスチック製のブランクパネルは、軽量で扱いやすい点が大きな魅力です。取り付け・取り外しが非常にスムーズで、頻繁に機器の入れ替えやラックのレイアウト変更が発生する現場には優れた選択肢と言えるでしょう。また、プラスチック素材ならではの柔軟性にもメリットがあり、万が一落下や衝撃が加わった場合でも、比較的ダメージを受けにくい特徴があります。ただし、金属製ほどの頑丈さや耐久性は持ち合わせていない点には注意しましょう。
ほかにも、金属製よりも比較的安価であるため、低予算でラック環境を整えたい場合にも適しています。
(3)ブラシタイプ

通常のブランクパネルが一枚の板状であるのに対し、ブラシタイプのブランクパネルは板状のフレーム部分と、側面に配置されたブラシ部分で構成されています。ブラシ部分はケーブルの引き込み口と同時に、空気の流れを遮断し、ラック内の空気の再循環を防ぐ役割があります。
株式会社バーテックの「ブランクパネル・ブラシタイプ」は代表的なブラシタイプのブランクパネルです。ケーブルの引き込み口となるブラシ部分はブラシフィラメントの集合体で構成され、1本1本がフレキシブルに動くため、配線を通した際に生じる隙間を効果的にふさぎ、空気の回り込みを防ぎます。
また、UL規格の難燃グレード「V-0」相当の難燃性素材をブラシとフレームに採用しており、万が一の火災時にも他のサーバーへの延焼を防ぎます。さらにRoHS指令(2011/65/EU)、RoHS指令((EU)2015/863)対応製品であり、環境と健康へのリスクに配慮した製品です。
まとめ
ブランクパネルはサーバーラックの隙間を埋めることで、排熱の回り込みやホットスポットの発生を防ぐとともに、冷却効率の改善が期待できるアイテムです。ブラシタイプのブランクパネルであれば、本来求められる冷却効率と作業性を両立することが可能なため、単なるスペースフィラーではなく、冷却システムの効率化とエネルギーコストの最適化に大きな役割を果たしてくれることでしょう。
サーバーラックのブランクパネルについてお探しなら、株式会社バーテックの「ブランクパネル・ブラシタイプ」がおすすめです。ケーブルの引き込み口がブラシであるため整線を行いやすく、さらに空気の流れをコントロールし排熱の回り込み防止に貢献します。

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