野生動物専門家に聞いた!有害となりえる生物の特徴・特性とは!?

野生動物専門家に聞いた!有害となりえる生物の特徴・特性とは!?

ネズミ、鳥やコウモリなど野生生物は人間との距離が近すぎると、有害生物になってしまいます。これらの生物によって工場に被害が出て、対策にお困りな方は多いのではないでしょうか?対策をするためにこれらの生物を駆除ばかりしてしまうと、生態系は崩れ、自然の豊かさが維持できなくなっていきます。では、どうすれば良いのでしょうか?それは、有害生物と適切な距離を保つことができれば、駆除せずに悪影響を及ぼさない範囲で予防し、これらの生物と共生することができます。本お役立ちコンテンツは長野県の松本市で野生生物の駆除、対策工事、調査研究を専門におこなっている、かわほりプリベントの山岸淳一氏に有害生物となりえる生物の特徴や特性について紹介します。また次回のコンテンツはこれらの生物の予防、対策方法について紹介します。

 

私は長野県の松本市というところで、ペストコントロールという仕事をしています。ペストコントロールとは、人間にとって有害な 生き物を駆除や対策を行う仕事です。しかし、私は主に野生動物の駆除や対策をする仕事 をしています。 長野県は北アルプス、南アルプス、中央アルプスを抱えており、自然がとても豊かなところです。中でも 私の住む松本市には上高地があり、北アルプス登山の玄関口です。毎年、自然を求めて多くの観光客 が訪れます。このような場所で仕事をしているため、様々な野生動物に関する依頼を受けます。 生き物で困っているという相談の場合、必ずしも「その生き物がなんであるか」ということを依頼者が わかっているとは限りません。依頼者の多くは、動物の姿を見ていないケースが多々あります。 姿を見ていないが、なにかがいるのは間違いない。「姿は見ていないが、天井裏でドタドタと動物が 走る音がする」「鳥が軒の中で巣を作っているようだ」「壁の中でガサゴソと音がして、時々キーキー と鳴いている」といった感じの相談が多いです。このため依頼を受けてから現場に赴いて調査することが 絶対に必要です。依頼を受けたら、様々な調査道具を抱えて、エッサエッサと出かけて行きます。ここで、私のもとへ依頼が来た最近1ヶ月間(この記事を書いているのは2021年9月初旬)の相談内容を見 てみると、上位3種は、コウモリ、鳥(主に鳩とツバメ)、ネズミでした。 今回の記事ではこれら3種の生き物について詳しく紹介します。

ネズミについて

最初に名前があがるのはネズミ です。ペストコントロール対象の代表選手です。 さて、ネズミの害といえば、どんなイメージを抱きますか? 「食べ物を食い荒らす。」「糞や尿の撒き散らす。」「怖い病気をもっている。」 このようなイメージでしょうか?ネズミに不潔・不衛生なイメージがあるのは間違いないです。 実際にネズミには衛生的に大きな問題なります。 人間にとって有害なウイルスを保有していたり、感染症の原因となることがあります。 昨年、畜産業界を恐怖に陥れた豚熱(旧称・豚コレラ)も、一部の感染ルートにはネズミが関わってい るとも言われています。 身近なところでは、ネズミは食中毒の原因となることがあります。そのため食品を扱う施設では、定期的 にネズミ駆除や生息調査をするように法律で決められています。 業者に定期調査を委託しているところもあれば、自社の担当者や管理栄養士がチェックしているところもあるでしょう。どちらでも問題はありません。 ネズミが発生した場合も同じです。調査や駆除は誰がおこなっても良いです。 食品施設でネズミをコントロールするために大切なことは、3つあります。

1.建物内と建物周辺のネズミ生息状況を定期的にチェックすること。
2.建物内にネズミが入らないよう侵入防止措置を常におこなうこと。
3.発生が確認されたら、すぐに全力で対処すること。


この3つが、被害を拡大させないための大事なポイントです。 これは一般の住宅でも変わりません。 ネズミがいないかを時折チェックし、建物に穴や亀裂がないかを点検し、ネズミの音や痕跡に気づい たらとにかくすぐに対処することが大切です。 ネズミの音といえば、「カリカリ」と齧る音が不快で、天井裏に住みつかれて不眠になったという話を よく聞ます。 夜中に聞こえてくると不安感が募るらしく「家の柱がすべて齧られちゃう気がして……」と真剣な顔で 相談を受けることがあります。柱を全部齧るには相当な時間がかかると思うが、お客様にとっては笑い事ではない重大な問題になります。 ネズミについては、晩秋~冬に相談件数が増えます。

 

鳥(主に鳩とツバメ)

平和の象徴とされる鳩について紹介します。 鳩が施設や家に住みつかれてしまった人にとっては、平和どころか、非常に厄介者に感じる方が多いと思います。また、昨今では太陽光発電パネルと屋根の間に鳩が巣を作ってしまって、困っているという依頼が増加しています。 鳩は世界に約300種ほどいるハト目ハト科の鳥です。 その中でも問題となるのがドバト(カワラバト)です。一番身近な鳩で、神社などでエサをもらってい るのがドバトです。 鳩の害について3点紹介します。1点目は糞です。 鳩の糞は人間にとって有害で、いくつかの感染症の原因となっているくらい人間の健康に悪影響を与えます。 そして建物に住みつけば、糞汚れで問題になります。 そして糞が溜まれば、異臭を放ちます。 2点目の鳩の害は虫を誘引することです。 糞から害虫が発生します。また、鳩の体や巣からはダニが検出されます。 最後に、他の鳥と同じように「騒音」の問題です。鳩の声と、鳩が歩く音が騒音問題にな りやすいです。 鳩は巣の場所に強い執着心を持つ習性があります。そのため、鳩を巣から追い出し糞を清掃した程度ではいなくなりません。

コウモリについて

私の専門はコウモリです。コウモリが好 きで、コウモリのことになると家族をほっぽりだして出かけていってしまいます。友人の中には、私の ことを「コウモリ馬鹿」と呼ぶ者もいるくらいです。 さて、コウモリについて紹介します。世界には約1300種類います。日本には35種生息している動物です。哺乳類 の中でも大きなグループです。 空を飛ぶ哺乳類は他にもムササビやモモンガがいますが、飛び方に明確な違いがあります。 モモンガやムササビは「滑空」と呼ばれる、地表に対してある傾斜で降下する飛行状態です。一方、コウモリは「飛翔」 と呼ばれ、バタバタと翼を動かすことで揚力と推進力を得ることで飛行します。 日本に生息しているコウモリ35種類のうち、住宅に住みつく種類は少数の種類です。最も、住 宅や施設で発見されるのは、アブラコウモリ(学名: Pipistrellus abramus)です。 アブラコウモリは頭胴長4~6センチ体長10グラム程度の小さなコウモリであり、人工建造物のみを住処として生活してします。 食性は昆虫食で、ユスリカや蛾などをよく食べています。 夜行性で、昼間は建物の天井裏や壁の中、瓦や屋根の隙間などで寝ていて、夕方になると餌を狩るために飛び出し ていきます。お気に入りの狩場に向かい、超音波で虫の位置を発見特定して捕食していきます。歯が鋭いので、硬い昆虫の殻も難なくガリガリ食べることができます。 食虫性コウモリは、動物の中でもたくさん餌を食べるほうで、一晩で自分の体重の半分近く の量の虫を食べるといったデータもあります。 これには理由があります。コウモリがもつ筋肉量やエネルギー効率とが、大きく関係しているます。  コウモリが住みつくと、臭い、ダニ、壁の糞尿 汚れなど様々な問題が出てきます。 工場や倉庫で問題になることも多いです。 壁の隙間などが大好きなので住みついて、糞や尿が落下することで、出荷直前の製品段ボールが ダメになってしまったり、異物混入になったりりします。  さて、アブラコウモリが住みつくと、音がします。 大きく分類すると、「移動する音」と「鳴き声」です。 移動する音は、ガサゴソと小さな音がしたり、なにか這うような音がしたり、まれにパタパタと羽音が します。断熱材の中も好むので、断熱材のビニールが擦れる音もします。 鳴き声は、キーキーとかチッチッといった感じの音が聞こえることが多いです。

まとめ

今回はネズミ、鳩、コウモリの特徴について、紹介しました。特徴、どんな被害を及ぼすかを知ることによって、生物の特定ができ最適な対策、予防が講じることができます。次回の記事ではネズミ、鳩、コウモリについてより深く紹介し、対策方法について提案致します。

 

かわほりプリベント 山岸淳一氏について

かわほりプリベント 代表 山岸淳一氏

長野県塩尻市生まれ、松本市在住。
保健所、ペストコントロール企業を経て、現在は野生動物や有害生物の対策を専門におこなう、かわほりプリベント代表。この他に複数の企業で技術顧問を務める。

コウモリが好きで、友人や家族からは「コウモリ馬鹿」と呼ばれている。
真っ暗な森の中でコウモリの生息調査をしたり、コウモリの出す超音波の波形を眺めるのが趣味。
コウモリの住宅被害を減らす製品の研究開発に力を入れており、人間とコウモリが良い関係で共存できることを目指している。

株式会社バーテックとは、ネズミ対策の共同研究や新しい製品の開発で協力関係にある。

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