マテハンとは？意味をわかりやすく簡単に解説｜種類別の機器も紹介！
現代の物流・製造業では、効率的な物の移動や保管が求められています。大量の製品や部品をスムーズに扱うためには、適切な機器やシステムの導入が欠かせません。そこで重要になるのが「マテハン（マテリアルハンドリング）」です。本記事では、マテハンとはどのようなものであるか、その意味やなぜ物流や製造業で重要視されるのかといった点から、種類別のマテハン機器に至るまで詳しく解説します。
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１．マテハンとは？その意味や重要性を解説
物流や製造の現場で用いられる「マテハン」という言葉について、具体的にどのようなもので、なぜ必要とされているのか、その意味や重要性について解説していきます。
（1）マテハンとは
マテハンとは、「マテリアルハンドリング（Material Handling）」の略称で、日本語では「物流機器」や「荷役機器」などと表現されます。物流や製造現場において、原材料や製品を「運ぶ」「保管する」「管理する」「仕分ける」といった作業を効率的に行うための方法や、そのための設備全般を指します。
例えば、工場内で製品を移動させるコンベアや荷物を積み上げるフォークリフト、自動で仕分けを行う搬送ロボットなどが代表的なマテハン機器です。また、これらの機器を組み合わせ、全体の作業を一元的に管理するシステムも「マテハン」と呼ばれます。
このように、マテハンは単純に「モノを動かす」だけでなく、効率性・安全性を向上させるために不可欠な要素となっているといえるでしょう。
（2）物流・製造業におけるマテハンの重要性
物流や製造業において、マテハンが果たす役割は非常に大きく、特に現代のビジネス環境で求められる迅速で柔軟な対応力を支える重要な仕組みとなっています。
マテハンは、変化する市場ニーズや注文量に応じて迅速に対応できる柔軟性を企業にもたらします。また、在庫を適切に管理することにより、「欠品」や「余剰在庫」といった物流課題を解決し、コスト削減にも繋がります。
さらに、作業工程を可視化し、作業の見える化が進むことで、現場の改善や問題の早期発見を促します。業務プロセス全体が最適化されることで、生産性の高い職場環境を維持できるのです。
マテハンは現代の製造・物流業界において、変化に強い組織づくりのために不可欠な基盤技術といえるでしょう。
２．マテハン機器の種類と特徴
マテハン機器にはさまざまな種類があり、それぞれが持つ役割や特徴を理解することで、より効果的な物流・製造現場の運営が可能になります。ここでは主に「運搬・搬送」「仕分け」「積み込み」の3つに分類し、それぞれに関わるマテハン機器の特徴について詳しく解説します。
（1）運搬・搬送に関わるマテハン機器
運搬・搬送は、工場や倉庫内での物品の移動を指し、作業効率や安全性に直結する重要な工程です。この分野のマテハン機器は、物品のスムーズな移動をサポートし、作業者の負担軽減や生産性向上に貢献します。
①コンベア
コンベアとは、製品や資材を連続して運搬できる装置です。ベルトやローラーを用いて物品を一定方向に送り、手作業による運搬作業を軽減します。
主に製造ラインや倉庫内で広く使われ、種類によっては重量物やサイズが大きなものも搬送可能です。コンベアを導入することで、荷物の移動時間を短縮し、作業を効率化することが可能になります。
コンベアの選定では、搬送物の特性に応じた適切な仕様検討が重要です。ベルトコンベアは軽量物から中重量物（50kg程度まで）に適し、搬送速度は通常10～60m/分で設定されます。ローラーコンベアは500kg程度までの重量物搬送に適し、チェーンコンベアは高温環境や1t以上の重量物搬送で威力を発揮します。
②搬送ロボット
搬送ロボットは、物流施設や工場での製品や原料の運搬を自動化する機器です。プログラムで自由にルートや速度を変更できるため柔軟な運用ができ、省人化や作業効率向上に大きく貢献します。
特にAGV（無人搬送ロボット）やAMR（自律走行搬送ロボット）は、人が介在することなく自律的に目的地まで物品を届けることができることから、急速に普及が進んでいます。
AGVは磁気テープや光学センサーなどの固定ガイドに沿って走行する従来型システムで、導入コストは500万円～1,500万円程度です。
一方、AMRはLiDARやカメラなどのセンサーを用いて周囲環境を認識し、動的に経路を変更できる次世代型システムです。800万円～2,000万円程度の投資が必要になりますが、生産ラインのレイアウト変更への柔軟な対応や多品種少量生産における部品供給の最適化において大きな注目を集めています。
人と共存する環境では、ISO 3691-4（無人搬送車の安全）等の国際規格に沿った安全対策が不可欠です。
③カゴ車
カゴ車は、主に物流倉庫や配送センター、身近なところではスーパーなどでも使用されている台車状のマテハン機器です。一般的に側面3方を金属製の枠で囲んでいるため、荷物を高く積み上げた状態でも安定して一度に大量に運ぶことができる特徴があります。また、底板にはキャスターが付いているため、作業者が負担なく簡単に移動でき、荷物の保管・仕分け・移動を一貫して行えます。
（2）仕分けに関わるマテハン機器
仕分け作業は、製品や部品を種類や行き先ごとに分類する工程で、正確性とスピードが求められます。仕分け用のマテハン機器は、これらの要求に応えるべく、自動化や高精度な処理を実現しています。
①ソーター
ソーターは自動で製品や荷物を仕分ける機器で、物流センターや工場内の仕分け工程で導入されています。設定された条件に従って物品を自動的に振り分けることで、仕分け作業を高速化・効率化できます。仕分け作業にかかる時間を大幅に削減できるため、多品種少量の仕分け業務に適しています。
②オートラベラ
オートラベラは、荷物の仕分けや発送業務においてラベル貼りを自動化するマテハン機器です。仕分け作業に必要な情報を瞬時に読み取り、荷物にラベルを正確かつ高速に貼り付けます。仕分け工程のスピードを大幅にアップし、人為的ミスの削減にも効果があります。
（3）積み込みに関わるマテハン機器
積み込み作業は、製品を出荷用のパレットやトラックに積載する工程で、効率性と安全性が重要視されます。この分野のマテハン機器は、重労働の軽減や作業の標準化を通じて、作業環境の改善と生産性の向上を支援します。
これらのマテハン機器を適切に導入・活用することで、物流および製造現場の作業効率化、省人化、安全性の向上が期待できます。
①パレタイザ・デパレタイザ
パレタイザとは製品をパレットに積み付ける作業を自動化する機器で、デパレタイザはその逆に積み下ろす装置のことです。これらを使うことで人力での積み降ろしの作業負担を軽減するとともに、積載効率を向上させ、倉庫やトラックなどのスペースを最大限に活用できます。
②フォークリフト
フォークリフトは、倉庫や工場内で荷物や製品をパレット単位で持ち上げて移動・積み込み作業を行うマテハン機器です。重量物の運搬を迅速かつ容易に行うことができるため、広く普及しています。様々な現場状況に対応できるよう、電動式やエンジン式など、用途や作業環境に応じたバリエーションがあります。
フォークリフトの運転には労働安全衛生法に基づく重要な法的要件があります。最大荷重1t未満は特別教育、1t以上は技能講習の受講が作業者に義務付けられており、作業開始前点検（始業点検）の実施と定期自主検査（月次・年次）の記録保管が法的に求められます。また、バッテリー式の場合は充電設備の電気工事士による施工も必要です。これらの法的要件は導入コストや運用体制に直接影響するため、計画段階での十分な検討が不可欠です。
３．マテハン導入のメリット
マテハンを物流や製造業の現場に導入すると、どのようなメリットが得られるのでしょうか。具体的には「作業効率の向上」「コスト削減」「労働環境の改善」という3つの観点から、その効果を解説していきます。
（1）作業効率の向上
マテハンを導入することで作業工程がシンプルになり、生産性が向上します。例えば、自動仕分け機（ソーター）や搬送ロボットを活用すれば、人間が手作業で行う荷物の運搬や仕分けにかかる時間を大幅に短縮できます。また、自動倉庫システムなどを導入すれば、在庫の管理や製品の取り出しが迅速になり、待機時間や作業の無駄を省くことが可能になります。
（2）コスト削減
マテハン機器の導入は、長期的に見ると大幅なコスト削減につながります。
初期の設備投資は必要になりますが、自動化によって作業時間が短縮され、人件費や残業代の削減が見込めます。投資回収期間は一般的に3～5年程度を目安とするケースが多く、例えば中規模倉庫での自動仕分けシステム導入では初期投資3,000万円～1億円程度が必要ですが、人件費削減効果（年間1,000万円～2,000万円程度）により、適切に運用すれば投資回収が可能です。ただし、導入効果は現場の作業量や稼働率に大きく依存するため、事前の詳細なシミュレーションが重要になります。
また、物流業務が正確になるため、誤配送や在庫ロスによる追加費用も軽減できるでしょう。ほかにも、荷物の積載効率や倉庫スペースの有効活用による管理コストの抑制も期待できます。
基本情報・導入コスト一覧
投資効果・回収期間目安
（3）労働環境の改善
マテハンの導入により、職場の安全性と作業環境が大幅に改善されます。重い荷物の運搬や、高所作業を機械が代替することで作業員の身体的負担が軽減され、労働災害のリスクも低下します。また、自動化によって労働時間や作業負荷が平準化され、職場全体のストレス軽減や従業員満足度の向上にもつながるでしょう。
４．マテハン機器の選び方とポイント
マテハン機器を効果的に導入するためには、いくつか重要なポイントを押さえて選定する必要があります。ただ導入するだけでは効果が出にくく、目的に合わせた最適な運用が求められます。ここではマテハン機器を選ぶ際に意識するべきポイントについて順に解説していきます。
（1）導入目的の明確化
マテハン機器を導入する際、まず何を改善したいのか、何を実現したいのかを明確にすることが重要です。例えば、「倉庫内での仕分け作業を効率化したい」「人手不足の問題を解決したい」「荷物の破損を防ぎたい」などの目的を具体的に設定する必要があります。目的が明確になれば、導入すべき機器の種類や必要な性能を絞り込むことが可能です。
（2）効率を最大化できるレイアウト設計
マテハン機器を導入する効果を最大限に引き出すには、現場のレイアウト設計が重要になります。機器の配置や動線を工夫して、無駄な移動や待機時間を減らすことがポイントです。倉庫内や工場のスペース、作業者の動線を考慮し、マテハン機器を配置することで、物流効率が大きく改善します。
（3）手順書と訓練で安全確保
マテハン機器の使用には安全面での配慮も不可欠です。特に機械が初めて導入される現場では、作業者が安全に使用できるよう、詳しい手順書の作成や研修の実施が欠かせません。手順書を整備して作業員全員が操作方法を理解し、定期的な安全教育や訓練を行うことで、事故やトラブルを防ぐことができます。
マテハン機器導入時には労働安全衛生法に基づく法的要件の遵守も重要です。機械の包括的な安全基準への適合、作業主任者の選任、安全衛生教育の実施、リスクアセスメントの実施が義務付けられています。特に、ロボットや自動搬送車が人と共存する環境では、ISO 12100（機械安全の基本概念）、ISO 13849-1（制御システムの安全関連部）、ISO 10218（ロボットの安全）等の国際規格への準拠が不可欠です。
重要法令遵守チェックポイント
（4）保全体制の確保
マテハン機器は稼働時間が長くなると必ずメンテナンスが必要になります。機器の故障や不調が業務全体の効率低下を招かないよう、日常的な点検や定期メンテナンスを計画的に行う保全体制が不可欠です。定期的なメンテナンスやトラブル時の迅速な対応を可能にする体制を整えておくことで、長期間にわたり安定した稼働を維持できます。
５．マテハン機器とブラシの組み合わせでワークを守る
物流や製造業の現場では、マテハン機器単体の性能だけでなく、それらを補助する機器の活用も重要です。その中でも、株式会社バーテックの提供する「ブラシとマテハン」の組み合わせは、ワークの安全性や品質保持を向上させる効果があります。ブラシを組み合わせるメリットを具体的に確認していきましょう。
（1）ブラシのクッション性でワークを保護する
ブラシはその柔軟性と弾力性によって、ワークを優しく保持し、傷やダメージを最小限に抑える役割を果たします。
例えば、コンベアに対応した搬送ブラシシステムであるベルトシステムブラシは、ワークを浮かせて支持するため、板金部品やガラス製品、精密な電子部品などのデリケートな製品を、搬送時の衝撃やゴミ・切り屑からやさしく守り、キズや打痕を防ぎます。また、小型でモーターを必要としないミニローラーコンベアブラシでも、ローラー部分のブラシがクッションとなって、繊細なワークを傷付けにくい設計となっています。
作業台に取り付けるタイプのケアシステムブラシでは、ブラシがワークを浮かせて支持するため、傷つき防止と衝撃吸収を両立させます。ほかにも、製造現場における搬送や検品では、フレーム素材にPVC素材を最小し、簡単にカットや曲げ加工ができるバーカットWタイプというクッション材も取り扱っています。
このように、ブラシの持つクッション性により、ワークを優しく保護して製品の品質を保護するとともに、不良品の発生を抑える効果が期待できます。
（2）ブラシが「止める・支える」でワークの状態を維持
マテハン機器にブラシを取り入れることで、搬送中や保管時にワークを適切な位置で止めたり支えたりすることが可能になります。例えば、ワゴンシステムブラシやUシステムブラシは保管箱の底面や側面に柔軟性の高いブラシを取り入れることで、厚みの異なるワークを優しく、しっかりと支えます。また、ワゴンやコンテナ収納時の揺れやズレも防ぎます。
ほかにも、作業台に取り付けるタイプのケアシステムブラシなら、凹凸がある部品でもしっかりと水平状態を維持し、より正確で安定した作業が行えます。さらに、柔軟性が高いだけでなく、組み立て時にはワークをしっかりと支えることもできる点も特徴です。
（3）ブラシだから搬送しながらゴミを除去できる
ブラシを取り入れるメリットとして、製品の搬送や作業を行いながら同時にゴミや汚れを除去できる点も見逃せません。一般的なコンベアではワークを面で支えているため、ワークの支持面の間にゴミや切り屑が入り込みやすく、搬送時に擦り傷がついてしまう可能性が高くなります。
一方、ベルトシステムブラシなどに代表されるブラシを用いた搬送なら、ブラシの毛の隙間から小さなゴミが自然に排出されるため、製品への擦り傷を防止できます。さらに、ワークに付着したゴミをブラシでクリーニングすることも可能です。ブラシとマテハン機器の組み合わせは、安全性や効率性だけでなく製品の品質維持にも貢献します。
このように、マテハン機器にブラシを組み合わせることで、これまで以上の自動化を実現できるようになります。
まとめ
本記事では、物流・製造業において不可欠な「マテハン（マテリアルハンドリング）」の基本的な概念から、具体的な機器の種類や導入メリットまでを詳しくご紹介しました。マテハンを効果的に活用することで、生産性向上やコスト削減、そして従業員の安全確保や労働環境の改善につながります。さらにブラシを併用することで、キズや汚れ、破損など現場における品質向上、不良率の改善が可能になります。
ブラシを活用した一歩先の自動化を実現するマテハン機器をお求めでしたら、ぜひ株式会社バーテックへご相談ください。高品質・高付加価値のブラシにより、現場のお悩みを解決します。
