バリって何?現場担当者は知っておきたいバリ取りについて解説

バリって何?現場担当者は知っておきたいバリ取りについて解説

金属やプラスチック、ゴム製品などの製造に欠かせない「バリ取り」にパワ―ブラシが力を発揮します。多種多様なバリの特徴を知り、リスクを予測したうえで、的確にパワーブラシを選択、使用することで作業効率は上がり、信頼されるモノづくりに取り組むことができます。

バリ取りとは

「バリ」とは金属やプラスチック、ゴムなどを加工するときにできる「出っ張り」やギザギザのことです。日本語では「かえり」ともいいますが、英語が語源の「バリ」が一般的な呼称です。「バリ取り」とは、この「バリ」を取り除く作業のことで、製品や部品の質や大きさによってさまざまな方法が用いられますが、「モノづくり」の信頼と性能を確保するうえでとても重要な技術であり、作業工程といえます。

「バリ」の大きさは「高さ」や「根元の厚み」で表現されます。種類は旋削加工やドリル加工、研削加工など機械加工によってできる「切削バリ」や「研削バリ」、せん断加工やプレス加工など塑性加工による「せん断バリ」、鋳造やプラスチック成形による「鋳造バリ」や「プラスチック成形バリ」、鍛蔵や転造による「塑性変形バリ」など、さまざまです。このように生産過程で生じた出っ張りやギザギザなどを取り除く作業が「バリ取り」で、製品に求められる基本的な品質となります。

バリ取りを行わないとどうなる?

金属製品やプラスチックにバリが残っていた場合、取り扱う従業員や製品を手にする消費者は怪我をする可能性があります。ケース類なら使い物になりません。電気製品ならショート、切削工具なら切れ味が悪くなるなど、さまざまな不具合が生じるからです。バリなきことの明確な基準は特に定められていませんが、金属加工業者へのアンケート調査によると0.029~0.048でした。
 

精度低下(計測誤差)

バリにより製品の精度や品質が低下することはいうまでもありません。製品の計測に誤差が生じる原因となります。

故障や製品の摩耗

部品にバリがあると取り付けた際に不具合を起こし、電気製品の場合はショートの原因にもなりかねません。また、製品の摩耗、劣化の要因となり、トラブルを発生させる可能性を潜ませてしまいます。

作業従事者の怪我

金属や樹脂など硬い素材のバリは製造する過程で従業員が怪我をする可能性があります。また、衣服や施設や設備、素材や製品を傷つけ、トラブルの原因となります。

バリ取りに使われるブラシについて

バリ取りはブラシを使って行います。製品や部品は多種多様で作業も精度の高さが問われるため、多様なブラシを用途に応じて選び、的確に使わなければなりません。

パワーブラシの概要

スチールワイヤーやステンレスワイヤーなどの金属素材、馬毛などの天然素材で作られたブラシを高速回転させ、製品のバリを取り去る機器で、長時間の激しい使用に対して高い耐久性が保証されています。

パワーブラシの特徴は硬質の砥石やベルトといった研磨材とは違い、製品自体を痛めるものではありません。このため、研磨ダストを発生することがなく、設備や施設を破損させるリスクを抑えることができます。また、バリ取りはブラシ表面にある無数のフィラメントが製品に当たり、研きながら表面を強化し、寿命を延ばす効果もあります。このため、レーシングカーや航空機の表面を磨く作業にも用いられています。

パワーブラシのタイプ

ホイルブラス

カップブラシ

エンドブラシ

ミニチュアプラシ

コンデンサプラシ

エッジのバリ取り、平面の研磨などに使われる「ホイルブラシ」、サビ落とし、酸化膜除去、塗装剥がしなどに使用される「カップブラシ」、スペースが限られるところで底磨きやコーナー磨きに使う「エンドブラシ」、小型部品や宝石、歯科技工作業などの仕上げに使う「ミニチュアブラシ」、円筒内やネジ穴のクリーニングや仕上げなどに使う「コンデンサブラシ」などがあります。

パワーブラシの植毛材料

非金属の植物繊維のブラシ(左)と、酸化アルミニウム(AO)やシリコンカーバイド(SC)を含浸させた合成繊維でつくられたナイロックスフィラメント(右)

パワーブラシのフィラメント部の植毛素材は大きく金属、非金属があります。金属はスチールワイヤー、ステンレスワイヤー、真鍮メッキスチールワイヤー線、真鍮線など。非金属はタンピコ、パームなどの植物繊維、馬毛、山羊毛、豚毛などの獣毛があり、それぞれ用途によって使い分けられています。
 

削る作業には向いていない

パワーブラシは製品を削り、所定のサイズに仕上げる工具ではありません。製品に付着した酸化物やサビ、汚れ、バリをクリーニングし、表面を滑らかにする効果があります。

「バリなきこと」とは

「バリなきこと」とは「バリがない状態」を意味し、図面上にて「バリ取り」を指示するものです。これまでは一般的に細かく指示をしなくても「バリなきこと」で通じますが、加工する側としてはどこまでやればよいのかを「暗黙の了解」で「なんとなく経験で」判断しているケースがほとんどです。

しかし、新人が入社したり、新たなクライアントからの発注があったりした場合、トラブルにつながりかねません。そのため加工指示はあくまで数値によって定量的に表示すべきだとする考えが広まり、近年は「バリなきこと」という指示を避け、社内で指示の際のルールや規格を新たに設けるところが増えています。

まとめ

金属や樹脂などの製造に「バリ」は発生しますが、それを取り除く「バリ取り」が製品の品質を確保し、信頼を左右します。バリ取りにはパワ―ブラシの的確な選択、使用が問われます。パワーブラシはスチールワイヤーやステンレスワイヤー、馬毛などで作られたブラシを高速回転させ、バリを取り去りますが、耐久性と仕上がりの滑らかさが特徴で、研磨ダストを発生することがありません。また、研きながら表面を強化し、寿命を延ばすといった効果もあります。バリ取りの資格は労働安全衛生法(労働安全衛生規則)によって定められる「研削といし取替試運転作業者」があります。18歳以上なら誰でも各都道府県の労働局長登録教習機関、職業訓練センターなどで受講でき、学科試験と実技試験を経て1日で取得できます。取得者は全国の工場で必要とされています。しっかりとした知識と技術を持った資格者がいることは、個人だけでなく、会社の信頼にもつながりますので、ぜひ検討してみてください。

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