ベルトコンベアの片寄りを調整するには?必要性や調整方法、実施時の注意点などを解説
ベルトコンベアでは、ベルトのバランスの不安定さや装置の劣化などが原因で片寄りが生じることがあります。片寄りを放置するとベルトの摩耗や生産性の低下などを招くため、必ず調整して適切な場所に戻しましょう。今回の記事では、ベルトコンベアの片寄り調整の必要性や調整方法、実施時の注意点などを解説します。
ベルトコンベアの片寄り調整の必要性
ベルトコンベアの片寄り調整が重要な理由は以下の通りです。
● 片寄りや蛇行を放置するとベルトコンベアが傷む原因になる
● 生産性を高めて歩留まりを改善できる
● ベルトの脱落を防止できる
片寄りや蛇行を放置するとベルトコンベアが傷む原因になる
コンベア上でベルトの片寄りや蛇行が発生すると、ベルトがフレームやガイドに接触し、摩耗によって傷みます。摩耗が積み重なると装置の寿命を縮めてしまい、修理や交換にコストが必要となるでしょう。万が一ベルトが脱線すれば、大きな事故にもつながりかねません。また、摩耗して削れたベルトのカスが成形品に混入すれば、品質にも影響を及ぼします。上記のような摩耗や事故、成形品の品質低下を防ぐためにも、ベルトコンベアの片寄り調整は重要です。
生産性を高めて歩留まりを改善できる
歩留まりとは、「生産数全体に対して良品はいくつあるか?」という割合のことです。「歩留まりが低い=不良品の割合が高い」という状態を指しています。歩留まりが低いと、不良品の廃棄や作り直しにコストがかかるため、製造現場ではチェックが必須です。ベルトコンベアの片寄りを調整し正常な状態で稼働できれば、良品を生産できる体制が整うため、歩留まりも改善できます。このようにベルトコンベアの片寄りは、製造現場のコスト面にも大きな影響を与えるのです。
ベルトの脱落を防止できる
片寄りを放置し続けると脱線が大きくなり、ベルト自体がコンベアから脱落する危険があります。万が一脱線すれば、作業員を巻き込んだり成形品を破損させたりなど、大きな事故につながるでしょう。上記を防ぐためにも、日頃から片寄りを調整し適切な状態でベルトコンベアを運用することが重要です。
ベルトコンベアの片寄りは「ベルトの張力バランス」を調節して解消することが基本!
ベルトコンベアの片寄りは、基本的に「ベルトの張力バランス」が崩れることで発生します。コンベアの片方に張力が集まることで、徐々にベルトがズレてしまうのです。この片寄りの調整方法としては、以下が一般的です。
● ベルトが片寄っている側に合わせてローラのネジを回して調整する
● 六角レンチなどでプーリの位置を少しずつ変えて調整する
上記を行うことで、ベルトの張り具合が変わり片寄りを調整できます。ただし、上記はあくまでも基本の調整方法です。具体的な操作箇所や部品の調整方法はメーカーごとで異なるため、必ず取扱説明書や公式サイトをチェックしましょう。
片寄り調整の際にベルトの張力バランス以外で確認すべき点
ベルトコンベアが片寄る原因はいくつかあります。張力バランス以外では、主に以下の点をチェックしましょう。
● ゴミや汚れが溜まっていないかをチェックする
● 装置自体の不具合をチェックする
● ローラーの角度を調節する
ゴミや汚れが溜まっていないかをチェックする
ベルトコンベアにゴミや汚れが付着すると、片寄りを生むことがあります。製造過程では金属片や削りカスなどの汚れが発生します。こうした汚れを放置しプーリやローラーなどに付着すると、張力や摩擦力を弱め片寄る可能性が高くなるため要注意です。清掃は人力でも行えますが、ロールブラシやスクレーパーブラシなどを活用することで、清掃を自動化し労力を削減できます。
装置自体の不具合をチェックする
ベルトコンベア自体に不具合があると、部品交換や修理が必要なケースもあるため、張力バランスの調整や清掃だけでは対応できません。とくにベルトは、長年伸縮を繰り返したり油分が染み込んだりすることで、劣化しているケースが多いです。この劣化によって、ベルト全体がアンバランスになっていないかチェックしましょう。装置自体の不具合としては、コンベアフレームの捻れや歪み、変形、プーリ・ローラーの不具合などが挙げられます。
ローラーの角度を調節する
ベルトを支えるローラー自体の角度が片寄っていることもあります。専用のレーザー測定器や水準器を使って、ローラー間が水平に保たれているかチェックしましょう。
片寄り調整では「日々の清掃」の重要性が高い
ベルトコンベアの片寄り調整では、上記で解説したような張力バランスの調整以外にも、清掃の実施や装置の不具合チェックなどが重要になります。とくに「日々の清掃」は欠かせません。成形品や部品から落ちたカスがプーリやローラーなどに付着すると、張力や摩擦力に影響を及ぼし片寄りの発生原因となります。さらに、カスやホコリなどを放置すると異物混入の原因になり、成形品の品質そのものに悪影響を与えるでしょう。片寄りだけならまだしも、成形品の品質を下げることは絶対に避けなければなりません。品質の低い成形品は市場に出せないため、投下したリソースが無駄になります。上記のような事態を防ぐためにも、ベルトコンベアを日々清掃することも意識しましょう。
日々の清掃を自動化するためにバーテックのブラシを活用することも有効
ベルトコンベアの清掃は日々行うことが理想です。とはいえ、限られたリソース内で清掃作業を追加すると、現場が対応できないこともあります。現場で対応できず清掃のクオリティが落ちると、結局カスや汚れが溜まり片寄りが発生しかねません。なるべく現場の労力を割かないためには、専用ブラシを活用して清掃を自動化することも検討しましょう。
バーテックでも、ベルトコンベアの清掃に最適なブラシを各種取り揃えております。例えばロールブラシである「ロジスブラックシステムブラシ」は、100㎜単位のブロック状になっているため、交換時は消耗部分だけを取り換え可能です。さらに用途に応じて、スタンダードタイプや耐熱タイプ、金属検出機対応タイプ、スパイラルタイプなど、幅広いラインナップをご用意しております。
他には「シールブラシ」もあります。ベルトコンベア上に設置すれば、スクレーパーとしてカスや汚れを除去できるでしょう。ブラシの素材や毛丈は、取り付け場所に応じて細かく調整可能です。このようなブラシも活用してベルトコンベアの清掃を自動化し、日頃から片寄りを防ぐ仕組みを整えましょう。
ベルトコンベアの片寄り調整を実施する際の注意点
ベルトコンベアの片寄り調整を実施する際は、以下の点に注意しましょう。
● 周囲の安全に十分配慮する
● コンベアをゆっくり稼働させて少しずつ調整する
● ベルトを張りすぎないようにする
周囲の安全に十分配慮する
片寄り調整ではゆっくりベルトコンベアを動かすため、多少なりとも危険が伴います。コンベアへの巻き込まれ事故を防ぐために、以下を行い周囲の安全に十分配慮しましょう。
● 万が一の際に備えて非常停止スイッチを押す人を用意する
● 動くベルトには触れない
● 回転部分はカバーで覆って保護する
コンベアをゆっくり稼働させて少しずつ調整する
片寄り調整では、ネジを調節したりプーリの位置を変えたりしながら、少しずつバランスを変えていきます。いきなり高速でベルトコンベアを稼働させると微調整できないため、必ず低速で動かしましょう。
ベルトを張りすぎないようにする
ベルトコンベアの片寄りは、ベルトが緩い場合に発生しがちです。だからといって、ベルトを張りすぎることは避けましょう。ベルトを張りすぎると過度な弾力がかかり、装置を傷める原因になります。プーリやモーターの摩耗を引き起こし、寿命を縮めるため気を付けましょう。
日頃のメンテナンスに注意しつつ適切な方法で片寄りを調整しよう
ベルトコンベアの片寄りを調整するには、まず張力バランスをチェックしましょう。製品の仕様書に沿ってローラーやプーリなどを調整することで、片寄りを解消できます。また、装置に不具合があったり日頃の清掃が疎かになったりすることでも、ベルトの片寄りは発生するため注意しましょう。とくに清掃については、ベルトの片寄りだけでなく成形品の品質にも影響を与えるため、チェックする重要性が高いです。清掃は毎日人力で行うことが理想ですが、リソース的に難しい場合もあるでしょう。その場合は、専用ブラシを導入して「毎日の清掃を自動化する」ということも検討してください。バーテックでは、ベルトコンベアの清掃に最適な「ロジスブラックシステムブラシ」や「シールブラシ」など、豊富なラインナップのブラシを取り揃えています。手軽に導入し、最速で工場業務の自動化を実現できるため、まずは製品だけでもご確認ください。