酸性、アルカリ洗剤はブラシの劣化に影響するの?ブラシの素材における耐薬品性について徹底解説

酸性、アルカリ洗剤はブラシの劣化に影響するの?ブラシの素材における耐薬品性について徹底解説

食品工場では油汚れ、たんぱく汚れなど、酸性の汚れに効果的なアルカリ性洗剤、スケールなど、アルカリ性の汚れに対して有効な酸性洗剤が用いられています。そのため、ブラシフィラメントが酸やアルカリに対して耐薬品性を有しているかについてお問い合わせをいただきます。本コンテンツでは一般的にブラシで用いられるブラシ素材の特徴および耐薬品性について解説します。

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一般的にブラシに使用されるブラシの材質について

ブラシには大きく2つの素材が用いられます。各素材の特徴を下記に記載します。

PBT(ポリブチレンテレフタレート)

・熱可塑性のエンジニアリングプラスチックの一つです。
・耐熱性(60℃~140℃)が高い
・耐摩耗性が高い
・強アルカリ以外の対薬品性が高い。

食品工場における清掃に用いるブラシにおいて、ベストの素材のため、
当社のブラシはPBTの素材を採用しています。(※一部、PET素材も有)

PP(ポリプロピレン)

・プロピレンを重合させた熱可塑性樹脂です。
・耐薬品性が高い
・耐熱温度(~80℃)とPBT比べて低い
・PBTに比べて耐摩耗性が低い

食品工場様でご使用いただいているブラシはPBTが多いので、ここからはPBTについて詳しくみていきましょう。

アルカリ洗剤を使って洗浄したときのPBT素材のブラシへ与える影響

PBTは、先に記載した通り、強アルカリ以外の対薬品性が高いです。アルカリ洗剤を洗浄時に使用する量ではブラシの劣化には影響しません。しかしPBTの耐薬品性に関する試験データでは、数か月~半年の浸漬によって劣化すると記載されています。アルカリ洗剤へ長期間浸漬して使う場合は劣化する可能性があります。加えて、浸漬している場合は時間経過とともに殺菌力が落ち、菌が増殖する恐れがあります。(詳しくはブラシの適切な管理方法〜二次汚染を防ぐ2つのポイント〜)
よって、洗浄後に洗剤を洗い流せば抜けや切れが生じるほどの劣化の可能性は極めて低いと考えております。

24時間での酸とアルカリに対する耐薬品性試験

食品工場の使用環境でも問題なく使用いただけるか、確かめるために実際の使用状況に近い24時間での酸とアルカリに対する耐薬品性試験を行いました。

試験方法

調査手法として、液体薬品への浸漬方法を求める試験方法(JIS K 7114 プラスチック)を準用し、以下の条件にて試験を行いました。

(1) 検体は衛生管理用タワシLサイズとする。
(2) 試験前に引張強度を測定。(n=3)
(3) 検体を、強酸である塩酸(0.5%)、強アルカリである水酸化ナトリウム水溶液(3.5%)にそれぞれ三個ずつ24時間浸漬。
(4) 試験後、24時間常温にて放置した後、引張強度を測定し、浸漬前の値と比較することで耐薬品性を検証。

結果

結果は上図のようになり、塩酸、水酸化ナトリウム水溶液に浸漬の前後で、検体の引張強度に差異は見られませんでした。よって、24時間の浸漬条件では酸やアルカリに対する耐薬品性が認められると言えます。(※あくまでも24時間の浸漬試験です。)(先述した通り期間浸漬して使う場合は劣化する可能性があります。加えて、浸漬している場合は時間経過とともに殺菌力が落ち、菌が増殖する恐れがあります。)

まとめ

試験結果からもPBT素材のブラシと酸性洗剤やアルカリ洗剤を併用した洗浄は抜けや切れが生じるほどの劣化の可能性は極めて低いと言えます。ただし、洗浄で使用した後に、ブラシに残っている洗剤を洗い流すことが必要です。このようなに適切に洗剤、ブラシをご使用いただくことで洗浄効率を上げるだけではなく、ブラシ自体劣化を防ぎ、ブラシの毛が混入するといった異物混入のリスクを低下させることができます。今後と当社ブラシを品質向上、生産性向上へお役立ちできれば幸いです。

※アルカリ性の洗剤をご使用される場合には、お客様の使用環境によってはブラシが脆くなる恐れがあります。お客様の使用環境下で、問題ないことを確認した上で、ご使用ください。

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ブラシ使い方に誤りがあると、清掃効果の低下や清掃時間増加、異物混入リスク増大の恐れがあります。
本ガイドでは、正しいブラシの選定や使い方、保管方法について解説しています。

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